やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

山中の大海

山暮らしの僕には海というものは絵でしか知らなかった。だからおじいちゃんがしわしわの手で僕の頭を撫でながら「海をいつか見せてやる」って言ってくれたのはとても嬉しかった。でもおじいちゃんは死んだ。火葬でお別れ、おじいちゃんは形のない煙になって空に消えていく。その時涙が溢れて、おじいちゃんが「海の水はしょっぱいんだ」って、「海は青いんだ」って言ったの思い出して、僕おじいちゃんに言ったよ。
「うみ、みれたよ。」

コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品