やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

仮想

目を瞑って、例えばこのベッドが雲だったらなんて考えて、いやただ怖いだけだと思った。
いつから"大人"になったのだろう。
いつから夢に口を閉ざしたのだろう。
私は陸で見上げてる方が相当いいなんて思ったのだろう。
目を開けたら、まるで見知らぬ世界と思った見慣れた天井なのに。
いいえ、ささやかながら日々は変わる。
陽の光も温度も色さえも。
毛布の感覚も新鮮に思える。
もしかしたらなんて考える。
一生一年一ヶ月一日一時間一分一秒一コンマでさえ私は絶えず変化する。
世界ももちろん変化する。
私は見上げたそして思い知った。
そこには雲はひとつもなかった。
私の悲観は間違いでもなかった。

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