やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

初夏、

彼女の声は蝉の声で掻き消されてしまった。
彼女の命は蝉の命と同じ程でしかなかった。
初夏、蝉が土から地上へ上がるにはあまりにも早すぎた。
初夏、彼女が土の中へと埋まるにはあまりにも早すぎた。

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