やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

半年彼氏

春色のカーディガンを着た君が車椅子を押す。桜並木の傍の喫茶店で、アイスレモンティーを飲んでいる君が微笑んで「貴方が頼んだたらこスパゲッティを見ると桜の花が降り注いだみたいね」と言った。幸福な日。余命3ヶ月にして実った初恋を、置いていく君に申し訳なく思いながらも、愛は止まないばかり。
あと何日こうしていられるだろうか。

あと何日こうしていられるかしら。
桜の花が風に吹かれて散っていく。それを窓越しに見てふと、貴方の将来に重ねた。それでも貴方は幸せな顔をする。それでもまだ顔に翳りが見える。余命なんてわかった上でこうしていることに気づいてないのかしら。最後の贅沢を気にせずふんだんに使ってほしいのに。
でも、自分の生より、自分の死後に私がどう過ごすかを考える貴方が好きよ。

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