やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

死にたがりくんと生きたがりさん

いつ死んでもいいやと思っている。もういじめに耐えられない。憂鬱だ。悲しむことすらめんどくさい。やがて僕は手首を切り自殺を謀った。結果は失敗。病院で治療を受けることになった。
その時僕の隣のベッドにいたのは君だった。君は笑って泣いて、ひとしきり泣いたらまた笑って、色々と忙しいやつだった。そんな君は僕の手を引き外に連れ出して、景色や、家にいる犬の話や、好きな俳優について色々話してきた。一方的だったが、明るい君は痛いほどに眩しくて羨ましかった。
君はいつも明るく笑って、いつからいるとかと聞いたら本当に最近入ったのだという。僕は自分のことについて話したくなかったし、その上で人の病気について入るのも失礼だと思ったから聞かないでいた。
「最近、楽しそうですね。」
カウンセラーは僕を見て笑った。
…確かに、僕はカウンセラーと会った当初より笑えているのかもしれない。これも君のおかげだな。あとでお礼を言おう。…少し恥ずかしいけど
そんな事を考えながら僕がカウンセリングから帰ってきた時、病室は慌ただしかった。医者や看護師が何か騒々しくしている。君はどこかに運ばれていった。
その後、卑怯だが別の看護師に聞いた。そしたらあと3週間の命だと聞いた。
…酷いな。どうして死にたかった僕ばかりがこうも生き延びて、君はあんなにも笑っているのに命が足りないんだ。どうして僕はそこにいないんだ。…「死にたかった」?
そこで僕は、自分が生に執着していることに気づいた。

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コメント

  • ミドリン

    生きたくても生きられず、それでも明るく振る舞う子と、それとは対照的に死にたいけど死ねなかった子。生きたくても生きられない子と出会って、死にたがりの気持ちに変化が出てくるのかな? ということが気になりました。

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  • ホワイトチョコレート

    最初は気持ちの違う二人ですが、物語を通して少しずつ心境の変化が生まれる興味深い作品でした。

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  • ノベルバユーザー602526

    タイトルと内容が興味をひかれました。

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