RISING

鳳 鷹弥

無理のあるマッチアップ



二人の戦闘が、巻き起こり、崖下へと降り立った両軍幹部の面々は、敵を求め、彷徨うように戦場を駆け巡る。

その中で、ガムをクチャクチャと噛みながら、迷彩色のコートを靡かせながら周囲をキョロキョロと見渡すパーマがかった茶髪の男が居た。



「あれれ...だーれとも会わないとかマジパなくね...?ナイーブ過ぎて萎えぽよなんすけど....」



大きな独り言を垂れ流しながらため息を吐く、その男に向けて、背後の岩場から、ライフルの狙撃スコープが向けられる。



「よしよし、そのまま動くなよ。エゼル・アッシュトール....」



キャップを後ろに被り、纏めた紫苑色の髪が風に揺れると同時に、ライフルの引き金を引くその女性から放たれた弾丸が、反乱軍七武衆、エゼル目掛けて空気を切り裂く。

発射音より前にその殺気を感じ取ったエゼルは、背中の薙刀を旋回させ、その弾丸を見事に弾き落として見せた。



「俺っちを狙うって事は、革命軍幹部....そして、今のは銃声、発射音はまさにライフル....」



全てを察した様な言い回しで振り向いたエゼルは、褐色の肌に掛けられたサングラス越しにその方向に目を向ける。



「革命軍のライフル使いと言えば....マジパねェ....クール&ビューティーで有名なルナ・オウスムーンちゃんっしょ~!!やっと会えたねェ~もうマジこれは運命~!!」



神妙な顔つきは、この興奮を確信と共に、解き放つ為の準備運動だったらしく、褐色の肌からは受け取り難いが随分と紅潮した表情を浮かべている様だ。



「話には聞いて居たが、想像以上に軽薄な男の様だ」



呆れ返った様に、岩場から姿を見せたルナはライフルの銃口を下げ、一定の距離まで、エゼルとの間をゆるりと徒歩で詰めて行く。



「俺っちの事、知っててくれたのぉ~?光栄すぎてあげぽよ~愛してるぜェルナちゃあん!!」



ルナが間合いを詰めて行く中、エゼルは延々と投げキッスを飛ばしている様だが、ルナはそれを器用に視界からシャットアウトして行く。



「....貴方、そんなで私と戦えるの?」



至極真っ当な、質問をルナから受けたエゼルは、高笑いを浮かべた後に鋭い目付きで言い放つ。



「戦うなんてアリエンティ....女性を傷付ける男は、マジ最低最悪、男ですら無ェっしょ~!」



自信満々に胸を張って宣言したエゼル、さて、この戦いにどういった結末が待っているのだろうか。

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