RISING
弱さとは罪
ゆっくりと下段へと降り立ったグレイは、仰向けで倒れこむロードに向けて歩を進める。
それを見たロードは呻き声を漏らしながら、右手を軸にして身体を起こす。
そして、態勢を立て直すと、グレイに向けて刀の柄を握りなおして、間合いを詰めていく。
「ニャロウが....!」
「....やっぱ遅ェな。カス」
振り構えた、刀を躱してカウンターの様に叩き込んだグレイの右拳がまたも、ロードの腹部を捉える。
同じように呻き声と共に、吹き飛ばされたロードは地面を転がって行く。
紺碧の火柱の中で、グレイに蹂躙されるがままのロードを助けようと、レイドとディルが火柱を撃ち破ろうとするが、四眷属の邪魔が入る。
エマの雷撃を避けながら、火柱へと向かうディル援護しようと動くリゼア、ソフィアに併せて、アノンとライアが身体を張って止めに掛かる。
そして、ボロボロのスネイクもまた、レイドと火柱の間を詰めさせまいと、何とか身体を入れる。
そんな外の行動な届かぬ火柱の中では、立ち上がり、向かっていく度に、吹き飛ばされグレイが背負った薙刀さえも抜かせることが叶わぬロードは唇を噛む。
「....はぁぁ....んあ...。欠伸が出るぜ?カス侍」
大きな欠伸をしたグレイは唇から流れ出た血を、腕で拭うロードを見下ろす。
真上から、見下ろされたロードは膝を着いた状態から捨て身のタックルで懐に潜り込むが、片手で肩を捕まれてそのまま、地面へと叩き付けられる。
「ぐあああああッッ!!」
「オイ....カス。お前....何で公使の護衛に加担してる?やっぱテメェの血が関係してんのか」
「..ニャロウ..んだよ血って。俺はシェリーに命を..救われた..それだけだ..」
荒れた息を整える様に、言葉を発して立ち上がったロードはグレイを睨み付ける。
「..知らねェのか。まあいい..にしても不憫だよなあ?」
「..何がだよ..」
「こんなカスに護られてる公使がだよ」
「..何が言いてェんだ..アンタ..」
ふと、下に視線を逸らしたロードの隙を衝いて、グレイがロードとの距離を詰め、ロードの頭を腕で掴む。
振りほどこうとする、ロードにもビクともせず、グレイは頭を掴んで口を開く。
「弱ェってのはよ..それだけで罪だ。弱ェ奴に恩着せがましく護るとか言われて..俺様から見ても同情するぜ」
言葉の結びと共に、掴んだ頭を持ってロードの身体を吹き飛ばして見せ、ロードの身体がまたも転がって行く。
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