RISING

鳳 鷹弥

怒りの引き金



「テメェは....ああ。思い出したぜ。バルモアの公使の護衛に加担してる赤髪のカス侍だな」


高くからロードを見下ろしながら口を開いたグレイを見て、ロードはまたも怒りを募らせる。


「ニャロウ....カスカスってうるせェんだよ!!」


声を張り上げたロードを見て、グレイはため息を吐く。

そして、その隣に立つレイド、そしてディルを見てまたも、口を開く。



「まあ、そんな事より、この状況....やっぱテメェ等には荷が重かったか?」



グレイの言葉に膝を着いたままの四眷属は息を呑む。

誰一人として、言葉を発せないままの状況に、息が詰まりそうになっていた。


「カス共が....四眷属なんて大逸れた名で呼ばれて。勘違いでもしてんじゃ無ェだろうな。テメェらなんざ居なくても別に構いやし無ェぞ」


グレイから発せられた言葉に、ロードの怒りが最高潮に達する。


「ニャロウが....それがテメェの部下に対する台詞かよォ!」


「....あァ?さっきから俺様に対して説教でもしてるつもりか?カス」


その言葉を最後の引き金とする様に、ロードが、ディルとレイドの静止を掻い潜るように、グレイ目掛けて地面を蹴る。

それに反応するように四眷属全員が立ち上がり、ロードの進撃を封じようとする。


「待て、カス共。テメェら下の連中を足止めして来い。俺様の邪魔、し無ェ様にな」


その言葉に、それぞれの返答を返した四眷属は、向かってくるロードの横をすり抜け、下のレイドとディルを防ごうと降下していく。

ディルに向けられた四眷属の攻撃に、三羽烏のリゼア、ソフィアも反応し、グレイとロード、この二人が今まさにぶつかろうとしたその時、グレイが右手を目の高さ位置まで、そっと挙げる。



「そんなに俺様とやり合いてェなら、環境を整えてやるよ」



グレイの右手を起点に、紺碧の火柱が上がると、それが円を描くように、ロードとグレイ、この二人を囲んでいく。


「ニャロウ..そんな回りくどい事してねェで、俺に来いよ!」


グレイに迫ったロードは右下段から逆袈裟懸けに斬り上げを行い、グレイを狙う。

だが、グレイは一歩横に避けると、後ろに弓のように引いた右拳をそのままロードの腹部へと叩き込む。


「ぐあ..っあああああああっ!!」


ロードは叫びと共に、飛び上がって来た岩場へ叩き落されてしまい、それを追って、グレイがその岩場へと降り立つ。





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