RISING

鳳 鷹弥

謎が謎を呼ぶ正体



「つーか、何で俺がアンタらの組織に狙われる前提なんだよ..そこがやっぱり引っかかるぞ..2年前何て流浪人として流れ始めた時じゃ無ェか」


ロードの言葉に、ディルは呆れたように口を開く。


「フフフ..それは本気で言っているのか?」


「....どういう意味だよ..?」


訝しげに訊き返すロードの言葉に、ディルが返答する。


「赤髪、お前の存在が知られては立場が危うい男がいる....フフフ....それは解っているだろう?」


「ああ...もう。何でどいつもコイツもそんな遠回しな言い方しやがる!父親の名前は出すな!本当の名前は語るな!....理由を教えてくれよ....ニャロウが!!」


ロードの反応に、ディルは面を喰らう。

そして、食い違いの元を辿るように、ディルから一つ質問を投げ掛ける。


「赤髪....お前まさか母親・・が何者であったか知らぬのか....?」


「知らねェよッ!!5歳以来会って無ェんだぞ!?」


ロードは、八つ当たりと解りながらも、改めて溜めて来た15年分のフラストレーションが爆発し、ディルに激昂した言葉を浴びせる。



「....やはりそこか。ランスが伝えて無いのなら、話すのは今では無いのだろう。だが、気を付けろ....赤髪お前の正体が知れれば..国を動かすほどの地脈を突くのと同義だ..」



常に笑みを浮かべていた、ディルからその笑みが消え去られていた。

この話は、それ程の内容という事なのだろう。


5歳で両親と別れ、ランスに育てられ、13年後に、ヘヴンリ―という名を名乗って一人、吹きすさぶ風に沿って流れていた流浪人ロード。


だが、砂の街でランスは言った。


ロードと、本当の父親との繋がりが知れれば、傾国させるほどの種となる。


そして、言葉と言い回しは違えど、ディルの伝えた言葉の真意はおそらく同義であろう。


更に新しく発覚した、ロードの記憶の中で真っ赤な髪をなびかせる母の姿。


その母が何者であったか、そこをこの会話の食い違いの根源と仮定づけたディルの言葉に、ロードは収まらぬ怒りをぶつける。



「クソ....結局、もう一回ランスと会うまで、何にも進展しないどころか解んねェ事が増えただけじゃ無ェか!!....イラつくぜ...ニャロウが!」



重苦しい会話を交える死蜘蛛狂天の幹部とロード、そして対面する様に動かぬ幻魔団四眷属とレイドを見下ろすように、高い岩場から姿を見せる男がいた。




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