RISING
合流せし四眷属
そして、新たな追手が差し迫るエトナルルンガ山の麓では、想像しえた光景が広がっていた。
「やはり..其方は..別格でおじゃる..」
「ウチらじゃ足元にも及ばんちゅうんか?」
傷は増えておらず、ただレイドにあしらわれ息を切らし、エマは片膝を着き、ライアは両膝を着いて、息を切らすのみ。
そして、死蜘蛛狂天のソフィアもまた、レイドに歯が立たず息を切らしていた。
「しゃらくせぇな。まだ立つか?」
返答も無く、ただ息を切らし短剣を構えるソフィアに声を掛けたレイドは、その表情を見て息を吐く。
すると、ライアとエマの元へ、川べりで戦闘を終えたアノンとスネイクが合流を果たす。
「いやはや..ライア、エマ。貴女方でもこの状況とは..」
「スネイク..アノン..済まないでおじゃる。妾達では..」
「流石は帝国軍元・大将と言った所か..そう簡単には壊れる事も無いですね..」
「ウチらにそこの死蜘蛛狂天の幹部を交えてもこの様や..」
アノンとスネイクの手に支えられ、ゆっくりと立ち上がったライアとエマ、幻魔団四眷属全ての視線が戦鬼レイド・ジャッククォーツに向けられる。
「次から次へとしゃらくせぇ奴らだ」
「幻魔団四眷属..揃踏みって..ランスやガスタさんの時は一人ずつしか来て無かった筈なのに..」
「それだけ奴等も追い込まれてるって事かもな。しゃらくせぇ」
四眷属へ視線を移して、ため息を付いていたレイドに向けて、ソフィアが奇襲とばかりに間合いを詰めて来る。
レイドの視線は動いたが、もう一度視線を何故かずらす。
振り払われた短剣の刃は、レイドに迫るが、その攻撃を防いだのはロードの刀だった。
「邪魔をするな..」
「もう止めにでき無ェのか..?」
息も絶える直前の様に荒々しく、息を吐く、ソフィアの姿にロードは同情や心配に似た表情を浮かべる。
「ふざけるな..同情する様な..目をやめろ..!」
唇を噛んで短剣を押し込むソフィアだが、体力の限界か、ロードの刀を押し込めない。
レイドは、ゆっくりと其処を離れ、幻魔団四眷属の前へと歩みを進める。
「武力に於いて誉れ高い幻魔団の四眷属が揃踏みとは壮観だが。見た所、戦闘後。誰とやりあったかは知らんが、どれだけ雁首揃えても、儂の首は獲れんぞ?しゃらくせぇ」
レイドの言葉に、説得力を持たせるには、完璧すぎる状況であったか、四人の幹部は揃って言葉を失っていた。
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