RISING
流浪人関係の依頼
ディルはゆっくりとアノンの喉元から切先を下ろすと、首を上げて完全にたじろいだアノンの表情を見上げ、脇腹に強烈な蹴りを叩き込み、アノンの身体を砂利道に吹っ飛ばす。
呻き声と共に吹き飛んだアノンを見届けると、リゼアに向けて視線を飛ばしたディルはゆっくりと口を開く。
「私個人への依頼だ..流浪人ロード・ヘヴンリ―に関してな....フフフ....」
リゼアにゆっくりと近づいて行く、ディルの背中を砂利を掴んで立ち上がって来たアノンが声を掛ける。
「待てよ..テメェ..」
一方的な力の差を見せつけられたアノンは唇を噛みながら、ディルの背中を睨み付ける。
「アノン・ヴィルヘルム...スネイク・ドラーアッシュ....」
ディルが声を掛けた二人が、声は上げないものの反応をする。
「秘密裏に指名手配された三人の重要人物拘束に当たって..お前達は失敗を繰り返している..だから、私達にも依頼が下った..」
ディルが首だけを離れてはいるが、背後に陣取ったアノンとスネイクの方に向けて続ける。
「政府への顔向け以前に..お前達の団長はどう、見ているのであろうな?フフフ..」
ディルの言葉にアノンとスネイクの表情に電気が奔ったように恐怖を写し出す。
「気性は荒くはないであろうが..あの男は単純に強い..失敗が続き、上から文句を垂れられるのは無視でき様とも..あの男の機嫌を損ねて..もう二度とあの様な事件が起きぬと良いがな....」
ニヤリと笑って見せたディルへの恐怖か、いや団長と呼ばれた男への畏怖の念であろう。
アノンとスネイクは曇った表情で目を合わせる。
「スネイク..行きましょう..」
「いやはや..任務遂行が最優先ですね..」
アノンとスネイクは痛む身体に鞭を打ち、跳び上がって木を伝いながらレイドの居るエトナルルンガ山の麓へと駆けて行く。
「そんなに怖い男なのか?某はまだ見たことが無いのである」
「フフフ..まあたった一度で、そのイメージを定着させられるだけの事件を起こしているという事だ...」
「ほう..して、ロードとは..あの姫の護衛に関わっていた流浪人であるな?..任務とは没する事であるか?」
「フフフ...リゼア..それとは違う。先ずは私達も行こう..」
はぐらかすように笑ったディルの背中を追う様に、リゼアも戦場となっているエトナルルンガ山の麓へと向かっていった。
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