RISING
蜂と蝶の刺客
リゼアとスネイクによる覚醒、そして絶技同士がぶつかった波動の揺れは、エトナルルンガ山の麓の岩場を移動していたレイドにも伝わっていた。
追手は間近。
しかい共食い..でもしているのか..?
しゃらくせぇ事になって来た。
思考を巡らす、レイドへ急襲とばかりに岩場から飛び出した影が鎗を構えて迫り来る。
その一撃をレイドはバックステップで避けると、直ぐ様、前へ踏み込み手刀で攻撃を仕掛けるが、それは避けられ、飛び出して来た影が距離を取る。
「..何や流石やな。ウチの襲撃をそない涼しい顔で避けおってからに」
「あ...アンタ!」
その鎗を構えた女性を見て、ロードが声を上げる。
「何ややっぱり生きとったんやな。アンタも運が強いみたいやな」
「アンタは...んと....ラマ?」
「エマや!エマ・メディックス!もう忘れたんかい!!」
ロードが指差した女性は、時の街でロードらを襲撃した幻魔団四眷属の一人、エマであったが、ロードの物覚えの悪さにエマは声を荒げる。
すると、声が響いている中、空中からまた一人、着物を裾をなびかせた女性が、鉄扇を構えて迫り来る。
呆れたようにレイドはその攻撃を避け、ロードと共に背後へと距離を取ると、またもロードがその女性を指差す。
「アンタは...んと...おじゃる口調の....。誰だっけ..?」
「..其方は真にふざけておるでおじゃるな..。妾を忘れるとは..」
エマの横へと移動した女性は、ロードの素っ頓狂な反応に、苛立ちを見せる。
「何や。ライア。アンタ、一文字も覚えられておらんやないか」
ニヤリと笑ってエマがライアを挑発すると、ライアが更に苛立ちを募らせる。
「其方..妾を愚弄できる立場でおじゃるか?のう..ラマ?」
「馬鹿にしとんのかワレェ!?」
挑発を仕掛けたライアの言葉に、エマが瞬間湯沸かし器の如く、怒りを沸騰させる。
そして、ロードらが眺める中、口喧嘩は収まらずにいた。
「おー。ライアだライア。思い出した」
ロードが呆気らかんとした表情で掌をポンと叩いていると、レイドが呆れた表情を浮かべる。
このお嬢ちゃん達..
何しに来たか、忘れてるな
しゃらくせぇ..
レイドが呆れていると、漸く喧嘩が収まったようでエマとライアの視線が此方に向く。
「一時休戦や!」
「さっさと片付けるでおじゃるよ?」
溜息と共に、レイドが刀の柄に手を掛ける。
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