RISING
その血を引くが故に
そして、振り構えた刀でエマの、腹部へと一撃を薙ぎ払う様に叩き込み、膝をついて崩れるエマの背後で刀を握り直し、払う。
「..峰打ちだ..勘弁しろよ..」
「アンタ..やるやないか。足が震えてもうたわ」
エマは首だけ、ロードに向けるが、脚の震えと、峰打ちといえど繰り出された腹部への一撃で、動けずにいた。
すると、シェリーの力も限界か、ロードから桃色の光が消えていき、シェリーが息を吐く。
「..ふう。ロード様..やりましたね!」
「姫様、お見事でした」
レザノフの笑顔を見て、シェリーは顔を赤らめて嬉々とした表情を浮かべる。
「ロード..アンタもおそらくそろそろやで..」
「..何がだ?」
「..いや。何でもあらへん..」
エマは痛みが引いてきたか、ゆっくりと立ち上がると、心の中で呟く。
恐らく、後一段階や..
何かで覚醒の扉は開く..
何や、末恐ろしい奴やな..
エマはニヤリと笑うと、鎗を拾い上げ、青柳色の雷をロードに向けて放つ。
完全に気を許していたロードはそれを直で喰らい、空中に撃ち出される。
「..にしても、その甘さはいらんのやないか?バカが..戦場で気を抜いたり、情けを掛けたバカの末路は..死や」
シェリーは動けず、ロードも力の副作用か、身体が上手く動かず、態勢を立て直せないでいた。
空中へ、追撃を試みたエマに向けて、レザノフのギフトを込めた弾丸が襲い掛かり、肩や腕をに数発撃ち込まれ、鮮血が舞う。
「..ぐっ..しかし、まだ大丈夫や..!」
エマは、左手の針で攻撃を撃ち込むが、多少痛みでフラつき、狙いからは外れてロードの脇腹を掠めるように一撃が放たれてしまう。
それをロードは喰らい、多少吹き飛ぶ距離が増え、崖から身体が乗り出してしまう。
「..チ..チクショー..が..」
ロードは手を伸ばすようにして、シェリー達へ目を向けるが、身体がいう事を聞かず、そのまま頭から落下してしまう。
シェリーは、這うようにして、崖の淵へ行くと、声を大にして叫ぶ。
「..ロード様ァァァァァァ!!!!」
シェリーの叫びに反応し、レザノフはエマに向けて弾丸を乱射する。
それを躱し、エマは右腕の傷口を押さえながら、ニヤリと笑う。
「アンタらも気を付けて置くべきや。..万が一、あの男が生き残り、また行動を共にするなら..あの男の”血”が最もアンタらにとっても..危険やで..」
エマは、意味深な言葉を残し、その場から逃げ去る様に消えて行った。
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