RISING
反乱軍に迫る義の刺客
演説も終わらぬまま、市街地を後にしようとコンクリート路の長いトンネルを抜けたエルヴィスとウィルフィンは、次の目的地に向け、歩を進めていた。
「....ウィルフィン....」
突如立ち止まったエルヴィスは一歩後ろを歩いていたウィルフィンに目配せする。
「..解っている....」
ウィルフィンは全てを把握したのか同じように立ち止まり、背後からの殺気に備え腰の刀の柄に手を添える。
そして、その殺気が迫りくると、刀を抜刀し、脚を回転させ背後からの長刀の一撃を刀で防ぐと、甲高い金属音が背後のトンネルにも響き渡り静かな路に音を奏でる。
「....拙者の急襲などお見通しという訳か....」
「....それだけ殺気を纏っていては、急襲とは行かぬだろう..」
刀を弾き、後方宙返りで距離を取った長刀”刺徹波統の使い手、ニッキ―・ドーマンは着地と同時に口を開く。
「それならば致し方無し。貴公らは反乱軍....拙者は帝国軍。戦うのも已む無し」
再び、脚に力を込めて地面を蹴ったドーマンは突きの態勢を取り、ウィルフィンに向けて攻撃を仕掛ける。
「エルヴィス、此処は俺がやる....」
「...チィ....たまには俺も戦りたいんだがな」
エルヴィスが距離を取ると、ウィルフィンは宵闇を斜めから斬り上げ、長刀を側面から弾くと、踏み込んで斬り上げた刀を巻き込むように懐から柄でドーマンの腹部を狙う。
だが、ドーマンの腹部が金糸雀色に変化し、鉄鏡のギフトの硬化でその一撃を弾くと、それを脚にも派生させる。
そして、一歩引いて距離を取り、回し蹴りを叩き込む。
ウィルフィンは身体をリンボーの様に仰け反らせ、回避すると、地面に付いた片手で身体を捩じり、逆に回し蹴りを叩き込むが硬化した腕で弾かれる。
その弾かれた勢いを使って、ウィルフィンは距離を取ると、漆黒の風を足に集約させ、一気にドーマンの背後へと移動し、刀を構える。
「流石に迅いな。だが拙者の義は砕けぬ...」
硬化させた長刀を旋回させ、その一撃を迎え撃つが、ウィルフィンの刀は弾かれず、それどころかドーマンの刀を押して来ていた。
「成る程。疾風のギフトの特性、加速を利用して刀の勢い、速度を上げたか」
ドーマンの言う通り、ウィルフィンの刀は漆黒の風を纏い、風が渦を巻いていた。
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