RISING
金獅子の目覚め ー笑顔ー
レイナとエルヴィスの姉弟は、夕刻、夕焼けに染まる山道を歩いていた。
どうやら、夕飯の買い出しか何かだろう。
買い物袋を抱えたレイナの右手をエルヴィスの左手がギュッと握りながら楽しそうに山道を行く二人。
「ふふっ。エルは本当に良く笑ってるね」
笑顔でエルヴィスを見たレイナが笑顔を浮かべると、その表情を見たエルヴィスが嬉しそうに、口を開く。
「当ったり前じゃん。だって、俺が笑うと姉ちゃんも笑ってくれるもんよ」
歯を見せて笑ったエルヴィスを見て、レイナは嬉しそうに表情を更に和らげる。
「なにー?お姉ちゃんが笑うから笑ってたの?」
「そうだよ。姉ちゃんが笑うと近所の人たちも笑顔になるし。俺は、まだガキだけど....でも、男だから。早く強くなって俺が姉ちゃんの笑顔を守るんだ」
純朴で素直なエルヴィスの口から出た発言は、レイナの目頭に熱い物を溜めさせる。
耐えるように唇を噛み、笑顔を見せるとレイナが口を開く。
「ふふっ。期待してるよ。エルっ!」
「任せといて!」
「でも、先ずは買い物袋持ってくれるくらいに力付けないとねっ」
悪戯に笑うレイナを見て、エルヴィスは頬を膨らます。
「持てるよっ。貸して!」
意地を張る様に手を差し出すエルヴィスに対して悪戯っぽくレイナが笑っていると正面から5人組の見るからに野盗の様な見た目の男たちが正面から歩いてくる。
不審げに思ったレイナはエルヴィスの手を強く握り、傍に引っ張ると少し、早歩き気味に横を通り抜けようとする。
「おいおい、姉ちゃん。ちょっと待てよ」
一人の男に声を掛けられたレイナだったが目を背け、そのまま歩いて行く。
「無視かよ。姉ちゃん....」
「てか、意外といい女だぞ。コイツ」
「あ?ガキが好みだったのかよ?テメェ」
「テメェが熟女好きなだけやろが」
好き勝手に飛ばされるいい加減で下品な言葉に苛立ちを見せるレイナの目に後ろの男が持っていたナイフが目に入る。
コイツら....野盗....
取り敢えず、エルを安全な所に行かせなきゃ....
レイナはふとしゃがみ込み、エルヴィスの頭を撫でて口を開く。
「ごめんっ!エル。お姉ちゃん一つ買い忘れしちゃった。ちょっと行ってくるけど、もうすぐ陽が落ちて危ないからエルはこっちの道から先に帰ってて」
二又に別れたもう一方の道を指差して、レイナはにっこりと笑う。
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