RISING
次期王女の成長
「待っていた..」
入り口の前へと辿り着いた二人を出迎えたのは、革命軍幹部、シルヴァだった。
「シルヴァ。シェリーは?」
「地下の個室にて待機して貰っている」
「わかった。行こうぜ、レザノフさん」
レザノフに対して声を掛けると、シルヴァの目線も、レザノフへと移る。
「護衛隊長様も合流された様なので、私は此方で」
「ええ。ご迷惑お掛けしました。ノア様にも伝えて頂けると幸いです」
「承知致した。では、地下の幾つかの部屋は開放して有る。食事も睡眠も後は好きにやって貰って構わぬ。では....」
シルヴァは要件をロードに伝えると、マントを翻し、背を向ける。
「ああ。色々とサンキューな。シルヴァ」
振り向く事無く手を挙げて返事をすると、シルヴァはその場から離れて行く。
そして、二人はその店の地下への螺旋階段を降りて行くと、シェリーのいる個室へと向かう。
そして、横開きの扉を開けると、二人の顔を見たシェリーが椅子から勢いよく立ち上がる。
「ロード様っ!レザノフっ!」
「おう。遅くなって済まねぇな。シェリー」
「姫様、よくご無事で..」
再会を果たした三人は、席に座り直すと、会話を重ねながら、談笑を始める。
そして、それが落ち着いた頃、ロードはシェリーに改めてアドリーからの提案を伝える。
すると、シェリーは臆する事もなく、即答する。
「行きましょう!ロード様っ。レザノフ」
「えっ?え..ああ....」
シェリーの即答は想定して居なかったロードは面を食らう。
「驚きましたか?でも、その話は此方からお願いしたいくらいです..。母上の理想の為に私は此処に来ました。ですから、怖がってなどいられません..」
シェリーの決意に、ロードは笑みを浮かべ、レザノフは想いを巡らす。
時期女王としても、立派に成長しておられる....
やはり貴女様の娘ですね。王女様....
「時の街ジュードオークスへは。明日の午前中の列車にて向かいましょう」
シェリーの言葉が終わると同時に、二人のお腹の虫が鳴き、若い二人が顔を赤らめる。
それを見たレザノフがにこやかに口を開く。
「それでは、シルヴァ殿に甘えて、食事を頂き、明日に備えて寝るとしましょうか?」
綺麗に話を纏めたレザノフの言葉にぐうの音も出ず、二人は声を出して笑い、食事にありつくのであった。
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