RISING
逃走絵図と追撃絵図
ノエルはその一撃を後方へと避け、爆風を翼を折り畳んで防御する。
だが、ヒューズは、蔦で引き戻したジャベリンと共に四方からの大木と共に、ノエルを更に強襲する。
「横槍にしては、豪快だな」
未だ平静を装ったノエルに向けて容赦なくただ撃ち込まれるヒューズの考えなしの攻撃に、ノエルは冷静に間合いを取りながら防御姿勢を取る。
「アドアドぉ。御免ね。走るの疲れちゃって遅れちゃった」
リズがアドリーの肩を抱くようにして声を掛ける。
「リズ....ヒューズ....はあ....ゴメンね。ありがと」
「お礼は後。取りあえず逃げるよ。ヒュズっち、アドアド」
「オーケー!任せとけェ、賤ヶ岳ェ!アーイエー」
更に渾身の一撃を放った隙にヒューズがアドリーを抱きかかえ、リズと共にノスティエル雪原を脱出しようと逃走を開始する。
爆風と舞った雪が止むのを察して覚醒を解除したノエルは、ほぼ理解していた現状を眼で確認する。
「逃げられたか。狩猟対象者を取り逃がすとは不覚。まだ修業が足りぬな」
表情は、そのままに一度、フォスコール地区へと歩みを始めた。
一方、フォスコール地区へと逃走の末、目前に迫っていたシルヴァ、シェリー、ガスタの三人は、雪山を越えようとしていた。
「この山を越えればフォスコール地区。一度、革命軍のアジトに身を隠し、ロードを待ちましょう」
声を発したシルヴァに頷こうと振り返ったガスタの目に最悪の光景が映る。
それを見たガスタは鎖鎌を構え、シルヴァの頭上へと飛び上がる。
「わあっ.....」
シルヴァに抱えられたシェリーは突然のガスタの行動に驚き頭を抱え声を挙げる。
シルヴァは頭を下げ、一度加速し、背後の状況を首を曲げ確認する。
「やっと追いつきましたよ.....。今度こそ...壊してやるよォ!!!!」
その視線の先には、ディルによってセイラントスフォールで撒かれた幻魔団四眷属、アノン・ヴィルヘルムの姿だった。
飛び上がり、振り下ろされた大刀の一撃をガスタが鎖鎌でガードする。
「シルヴァ君。先ずは姫様が最優先。そのままお行きなさい」
「何?狙われているのは貴方だ。何故、庇う様な真似を」
「誰が、狙われているかだとか。その子が他国の子だからとか。こんな世の中だと考えることが多くて行けませんね。....ですがね、我々ロートルが若い世代の一人や二人の為に身体を張れない様じゃあ、どの道、この国に希望はありませんよ」
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