RISING
反乱軍副長の嘆願
その疑問に辿り着くとロードは怒りが醒めて行く。
「てか、そのエル様って...?」
「え?エル様はエル様だよぉ」
「我らが総長ォ最強に一票ォ。エルヴィス・ハワードだ。アーイエー」
「でも、お前らがシェリーを狙うなら俺は何度だって立ちはだかるぜ?」
眉間に皺を寄せたロードを見て、二人は声を挙げて笑い出す。
「アハハッ。ラブちゃん。ごめんね。つい昨日決まったの。私達、反乱軍はお姫様の命は獲らないことにねぇ」
軽く言い放ったリズの言葉にロードは若干の沈黙を破って声を挙げる。
「えっ....?それマジか....?」
「本気も根気ぃ。マジな火事ぃ。アーイエー」
ロードの肩からふわりと力が抜けて行くと、質問が口を吐いて出る。
「でも、いきなり何で....?」
「副長ウィルたんの嘆願だよぉ。ラブちゃんに感化されちゃったみたい。鬼みたいなダークさがウィルたんの魅力だったから驚いたぁ」
そう、ロードと出会い、剣を交え、共闘し、言葉を紡いだあのウィルフィンへ向けたロードの嘆願が反乱軍副長の気持ちを動かし、総長であるエルヴィスの首を縦に振らせたのだ。
「もちろん、開国に賛成ではないからぁ。エル様かウィルたんが出向いて帰国する様に説得するつもりみたい。恨みのが異国に、そして夷敵にあるのは間違いないけど。お姫様にじゃあ無いしね。そこはみんな納得した筈だよ」
リズの言葉を聞いて、ロードは雪の上に座り込む。
「はぁぁぁ....んだよ。良かった....良かった.....」
気持ちが素直に溢れ出るロードを見て二人はまたも笑みを浮かべる。
すると、ヒューズがロードに近づき、手を差し伸べる。
「中々やるじゃねぇか。俺のハートにビビっとビートを感じたぜ。ロード。アーイエー」
その手をおもむろに掴んで立ち上がると、ホッとした表情で笑みを浮かべる。
「へへっ。今のは意味わかったぜ。アンタのラップ」
「ラブちゃん!お姫様達、市街地の方に近づいてたよ。ここから真っすぐ西にぃ」
「悪い!ありがとよ!」
ロードは手を挙げると指を指された方へ、一目散に駆け出して行く。
その背中を見送ると、リズはヒューズに向き直る。
「じゃあヒュズっち。取りあえずアドアドと合流しよぉ」
向こうは、大丈夫かな....
八つ裂きにされてなきゃいいけど.....
リズは不気味な言葉を心の内で浮かべると、空を仰いだ。
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