RISING

鳳 鷹弥

流浪人の小細工



「鼠.....がいますね」


アノンは不敵な笑みを浮かべると、ロードのクシャミが聞こえてきた方へ、ゆるりと歩を進める。



や....やっちまったああああああ!!!!



心の中で、絶叫を上げたロードは、苦笑いのシェリーと頭を片手で抑えるように俯くシルヴァを一瞥すると諦めたように茂みから飛び出す。

その姿を確認したアノンがまたも不敵な笑みを浮かべて口を開く。


「君はもしかして.....先日、水の街でウチのライアに赤っ恥をかかせてくれた噂の赤髪くん....でしょうか?」


「ああ、多分それ俺だ」


「私たちを幻魔団と知った上で、後を付けてきた。そう解釈してもいいのかな?


「いや、俺達・・がアンタを見つけたのはたまたまだ。また厄介ごとに巻き込まれたくねぇからな」


多少、しどろもどろしながら答えるロードに、シルヴァを続ける。


「ほう。たまたまと。私としては、またあの異国の可愛い姫と一緒なのかと思いましたよ」


「な....何言ってんだよ。一人だぜ?俺は」


何とかこの場を一人で乗り切ろうとするロードとしては、いい作戦だと思ったのだろう。

しかし、アノンの反応は、ロードが思い描く其れとは異なった。


「近くにいますね。恐らく彼が出てきたそこの茂みに」



ガーーーーーン.....!


バレテるゥゥゥゥゥ.......!


何故ばれた....?


ロードの解りやすい表情を見て、アノンはまた不敵な笑みを浮かべる。



「場所まで一致ですね。なに難しい話でも、私がメンタリストな訳でもありません。君は先ほど、”俺”ではなく”俺達”と発言しました。私が聞いている訳でも無いのにね」



ガ....ガーーーーン......!


しまったあああああああ.....


ロードが表情のみで相手に正解を伝えると、一瞬の出来事。

茂みから飛び出た影が、地面を高速で蹴りながら、回転蹴りからの裏拳と、足技手技を駆使してアノンの周りに控えた六人の幻魔団配下を音もなく沈めた。

そして、挨拶とばかりに空中で回し蹴りを、アノンに右側面から叩き込むが、アノンはその蹴りを一瞥する事もなく、右手でガードする。

蹴りを叩き込んだ男は、空中で回転し、ロードの前に降り立つ。


「ほう....君も共にいたのですね。革命軍の影忍かげにんシルヴァ・ホーリーセンス....」







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