RISING
終結 マルセーニュ港の戦い
一方、港近辺の工事現場で激闘を見せていた戦いにも終止符が打たれようとしていた。
「あかんあかん....乗せられてしもうた。ボクとしたことが熱なってもうたわ」
夥しい程の鮮血を流し、既に覚醒も解けた姿で壁に寄りかかり、座り込むデュークに対し、バレットは冷たい笑みと共に、言葉を放つ。
しかし、デュークからの返答はなく、静まり返った戦場にバレットのその言葉のみが流れていく。
「言葉も話せへんなら、いっそ....死んでもうた方が楽やろ?オースティン家のお坊ちゃん」
何の躊躇いもなく、振り上げられた七支刀から放たれた流水のギフトの斬撃が、無情にも身動きの取れないデュークを襲う。
「終わりや」
その言葉、そしてその斬撃を、刹那、掻き消す銀色の風ー。
ふわりと降り立つその男の髪が風で浮き、たなびく。
その男の姿を確認した、バレットはニヤリと笑うも、束の間、その男の殺気に満ちた眼が視界に入ると、体中の血の気と共に余裕は消え失せていく。
対するその男は、殺気に満ちた眼を、一瞬、和らげると背後に座り込むデュークの姿を一瞥すると、またも殺気に満ちた眼で、バレットへと目を向ける。
何かを発する訳でもなく、その男は、唇を噛むと、地面を蹴りバレットへと急加速を始める。
そして、腰の刀剣、最上大業物の一振り、吹雪狼を抜刀すると、上段から斬りかかる。
バレットは七支刀を横に寝かせ、何とかその一撃を受け止めると口を開く。
「アンタ、そない感情剥き出しにするタイプやったか?もっとクールな奴や思うとったわ。....ノア!」
「どう思うがお前の勝手だ。....だが仲間をやられてクールに振る舞えるほど...大人ではない!」
鍔迫り合いになっていた刀から、疾風のギフトを放射させ銀色の竜巻と共に、バレットを吹き飛ばす。
「ぐッ.....」
吹き飛ばされたバレット目掛けて、無数の銀色の風の斬撃を飛ばし、追い打ちを掛ける。
銀色の斬撃と、防御の為に放ったバレットの流水のギフトが弾け、大きな爆発を起こし、昼間の澄み渡った青空に閃光を放ち、両者のギフトが消失すると共に、バレットの気配すら消え失せていた。
逃走ー。
それを確信したノアは直ぐ様、踵を返すと重傷を負ったバレットを肩に身体ごと乗せ、水の街アリアアクアの展開された団員に無線を飛ばす。
マルセーニュ港の戦い 終結。
アジトへ帰還せよー。と。
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