RISING

鳳 鷹弥

幾つかの進路修正

「何でおじゃる…?今は任の真っ最中…」


ライアが密偵に声を飛ばすと、それを遮る様に密偵が片膝をついたまま要件を伝える。


「ライア様。緊急の帰還命令です。指示者は、幻魔団団長様からです」


「帰還命令…?まだ任の途中でおじゃる…そんな、指示は団長からと言えど…」


「タイムリミットは過ぎています…。団長様も、お怒りの様子…そして長年追ったある男・・・が氷の街に現れたとの事。部隊を編成したいとの事で必ず命令に従わせる様にと…」


ライアは、後半の報告事項よりも団長の怒りの所で息を呑む。


「……わかったで…おじゃる。直ぐに戻ると伝えて欲しいでおじゃるよ…」


密偵はその返事を聞いて、頷き頭を下げると忍びの様に木を蹴り消えていく。


ライアも覚醒を解くと、3人を睨みつける。


「そこの流浪人…次こそは…任を果たさせて貰うでおじゃる。妾に恥をかかせた事、忘れるな、でおじゃるよ…」


ライアもまた林道に、消えていこうとし疲れ果てたロードも立ち上がろうとするがノアの制止に合う。


「追うな。先ずは味方の安全確保が先だ。ロード、姫、無事で何より…」


一息ついた筈のノアだったが、何とか立ち上がったロードとシェリーにレザノフの現状を伝える。


「マジか…!レザノフさんがあんなチャラ男に…?」


「私を逃がすために…レザノフ…」


絶句する二人を見て、ノアは声を掛ける。


「立ち止まる時間は無い。レザノフ様を頼むぞロード。シェリー姫…」


「ノア様は…どうするのですか…?」


「レザノフ様に頼んだ事が進行されていれば、バルモアの商船は一時撤退を始めた。となれば、マルセーニュハーバーの後片付けをしに行かなければ」


頷いた二人を見てノアも頷き、ロードとシェリーにレザノフを託すと、踵を返す様に再度、マルセーニュ港へと駆け出す。


東西のコンテナ地域に加え、中将バレットを一人で抑え込むデュークと、厳しい戦いは予想しているが、三人の無事を確認疑わず、ノアは駆けた。


そして、港ではバルモアの商船が撤退を始め、レザノフに託した任は無事に完了。

それを見たエルム、オーズの両少将は元々、戦闘に乗り気では無かった為か、早々に戦場から離脱したと報告が入る。

だが、唯一つ治りの効かない戦いがあった。

兼ねてよりノアの懸念だったデュークとバレットの戦い。

ノアは進路を定め、加速していく。


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