RISING

鳳 鷹弥

分け与える光の力

「これはまるで、分け与える付加エンチャントの能力。閃光のギフトの覚醒者という事でおじゃるか?そこの姫は」


焦りを隠せず、早口になるライアとは裏腹にロードはゆるりと口を開く。


「だとしたら、どうだってんだ?」


「此処で確実に妾が消失すだけでおじゃる…!其方は退け!流浪人!」


疾ったライアの動きに、ロードは静かに刀に業火と閃光の双つのギフトを宿し迎え撃つ。

振り放たれた鉄扇から襲い掛かる竜巻を、今度は2度の斬撃で確実に撃ち落とし、脇に仕舞い込んだ刀で抜刀の姿勢を取る。


「妾を舐めるなでおじゃる!」


奏嵐のギフトを宿した鉄扇を頭上に構え、ロードの頭上へと舞い上がったライアがロードに向けて降下しながら、鉄扇を振り下ろす。


「驚いた…。負ける気がしねぇ…!」


ロードは脇から逆袈裟懸けに振り抜いた刀で、その鉄扇を弾きライアを背後へと吹き飛ばした。


凄い…


さっき迄は、力の差は歴然だったのに…


今は、ロード様が圧してる…!


シェリーは驚嘆の表情を浮かべ、ロードの背を見つめていた。









一方、サーガを打ち負かしたノアは、両コンテナの2人を信頼し、工場地帯へと踏み込んでいた。

駆け上がるノアの視線の先に、うつ伏せに倒れ込むレザノフと、反乱軍のエゼルが映る。


「レザノフ様…!」


一瞬で、レザノフとエゼルの間に降り立ったノアの姿に、エゼルが動きを止める。


「お。ちょっ…まっさか。バリやべぇ展開じゃね?何でこっち来ちゃったのよ。ノアちゃんさあ…」


慌てた表情を浮かべたエゼルが後退りをすると、ノアがレザノフの傷を見てエゼルに向けて睨みを効かす。


「何故、反乱軍七武衆の一人。エゼル・アッシュトール…お前がいるのだ?」


「ちょっ、タイムタイム!俺っちは別の仕事で通りかかってちょーっとだけちょっかい出しただけだって!マジで!」


返答も無く、睨みつけるノアの威圧に負けたエゼルは覚醒を解き、バックステップで距離を取る。


「バリ怖いってーの。アンタと殺り合う気は無いってーの。俺っちは退かせてもらうよん?じゃあバイビーっと…」


慌てて撤退したエゼルを見送ると、ノアは直ぐ様、踵を返しレザノフの頭を持ち上げ、声を掛ける。


「大丈夫ですか?レザノフ様…直ぐに手当てを致します…」


「いえ…それよりも…ロード様と姫様が…この林道の奥へ…無事を確認して下さい…」


レザノフが振り絞る様に声を挙げた。





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