RISING

鳳 鷹弥

月華 vs 魔導師

ニヤリと笑ったルナが、引き金を引くと氷弾が一斉に乱射される。

エルムは杖を振り上げ氷のアーチを描くとその弾を全て防ぐ。

すると、防いだ氷弾が宙に舞い、三日月状に形を変えるとエルムがそれを眺める間に暴発する。

だが、エルムは左手を振り上げ、その暴発しようとした三日月状の氷弾を凍結させ、地面に堕とす。


「ほう。流石は魔導師まどうしエルム少将。ただの女の子ではない様だな」


「ピンポーン☆大正解っ、エルムちゃんに傷を付けるのはけっこう大変だよっ?」


エルムはピョンと跳ねると、杖を横に薙ぎ払い、こっちの番とばかりに氷の粒をルナを中心として周りに散在させる。


「さて、どうくる?」


エルムはニヤリと笑い、杖を振り降ろすと黄色の氷が突起を造形し、ルナに向けて360度から襲撃する。

ルナはそれを見て、正面の氷を一気に撃ち落とすと、前転をかけてその攻撃を回避する。

その膝をついた構えからライフルを両手で構えると、下から宙に浮いたエルムに向けてスコープに目を通し、射撃する。


「当たれば正解。外れれば不正解ということだろう?お嬢ちゃん」


「ピンポーン☆まあ当たらないけどねぇ?」


空中に氷の足場を作ると、それを蹴って悠々と回避するエルム。


「むぅ。でも月華げっかの異名は伊達じゃないみたいっ☆優雅な上に華もある。なーんか嫉妬しちゃうなあ」


ルナがライフルを下ろし、立ち上がり息を吐くと、地面に降り立ったエルムが突然顎に拳を当てて考え事を始める。


「戦闘中に考え事か?お嬢ちゃん」


「むぅ。何でルナさんは、革命軍にいるのぉ?」


ハテナマークが頭の中に蔓延るエルムは、もう本人に聞こうとばかりに直接、問い掛ける。


「随分と直球だな。お嬢ちゃん」


「教えてよ?本当にルナさんを此処で倒さなきゃいけないの?☆」


「私達は、政府の政策。鎖国を打ち破ろうとしているのだぞ?言わば国家反逆。お嬢ちゃんが帝国軍で私が革命軍である限り、戦う輪からは外れられない」


その言葉を聞いて、エルムは頬を膨らませて憤りを吐き出す。


「聞いてるのはそんなことじゃないもんっ。政府に逆らってまで成し遂げたい事ってなあに?」


「…兄の本懐を遂げる…とだけ言っておこう。それさえ成就すれば、私にとっては全てがコンプリートだ」


首をかしげたエルムに向けて、改めてライフルを構えたルナが言葉を紡ぐ。

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