RISING

鳳 鷹弥

各地で蠢く刺客

「大丈夫ですか?シェリー様。レザノフ様。ロード…」


穏やかな表情で口を開くノアに視線が集まり、3人がゆっくりとノアを中心に集まる。


「…ええ。大丈夫です…」


覚悟は決めたとは言え、やはりシェリーがノアと顔を合わすには気不味さがあの仮定話によってしこりとして残ってしまったかのような表情を浮かべる。

その表情を不思議そうに見つめるが、ノアは敢えて此処はスルーしてみせる。


「そうだ。ロード、アレンの一件は済まなかったな。だが、アイツはアイツなりの想いがある。許してやってくれ」


「先ず怒ってすら無ェって。大丈夫だよ」


「そうか」


ニヤリと笑ったロードを見て、ノアも安堵の表情を浮かべる。

談笑の中、ロード達はこの三日月型の港の両端にあるコンテナ付近の人影を察する。


「レザノフ様。商船に連絡を。一度待機し出来れば船を下げてください」


その人影の正体にいち早く気づいたノアは、レザノフに指示を出し無線に声を飛ばす。


「フロウ、ルナ。両端のコンテナ付近だ。迅速に対応しろ」


ノアの指示が飛ぶと、状況を把握したレザノフが商船に向けて連絡を入れる。


「どうしたんだ?」


驚くロードが、ノアに尋ねるとノアは変わらず落ち着いて口を開く。


「恐らく、入港させずに海上で堕とす気らしい。両端に新たな刺客だ」


「じゃあ俺らも!」


意気込む様に声を出すロードは、ノアに制止される。


「大丈夫だ。2人ウチの精鋭を行かせた。俺たちは、先ずはシェリー様を安全な場所に移す」


「……わかった」


多少の間を開けて動き出そうとした一行の前に、別の男が近づいてきた。


「アンタ…」


「この街でも、会ったッスね。今はしっかり帝国軍の将官として仕事しなきゃいけないッスから容赦して下さいよ」


ロード達の目の前に現れたのは森の街フォレストールの孤児村ハングロッカーで出会ったサーガだった。


「サーガか。お前はU・Jと一緒で俺達に敵対心は無いと思っていたが」


「まあ正直言えば無いッスよ。ただ、ちゃんと仕事はしとかないと俺の立場も悪くなるッスから」


「ならお前の相手は俺がしよう。ロード、レザノフ様。シェリー様を頼みます」


ロード達は頷いて、港から1つ外れた工場地帯の方へと駆け足で向かっていく。


「さてと、俺で勝てるンスかね?革命軍総長ノア・クオンタムさんよ」


ノアはゆっくりと腰元の刀に掌を当てがい、戦闘態勢を取った。

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