RISING

鳳 鷹弥

港町 ムンクトペテルブルク

一行は、シェリーを馬車に乗せて丸一日掛けて森の街を出て水の街へと至った。

向かった先は、水の街アリアアクアのこの国最大の港を有する“ムンクトペテルブルク”。

鎖国により頻度として下がり、廃れてしまったと表現される事もある数百年の歴史を持つ“マルセーニュハーバーへと辿り着く。

水の街の由来は、国最大の港マルセーニュハーバーともう1つこの国の中心部を雄大に流れるプレジアの最大にして最長の運河“アリアロード”にある。

アリアロードと海が交わる位置にマルセーニュ港を起点として建てられた街として水の街アリアアクアの由来とされている。


「おぉ!ここがアリアなんちゃら。市場やら漁船やら何か色々デケェ!」


ロードがその広大さに目を引かれた通り、商店街の様に色々な店が立ち並ぶ大きな市場と港に並んだ巨大な漁船な何隻も聳えていた。


「時間は予定通り。間も無く来るでしょう。我が国の商船も」


レザノフが腕時計を眺めて時間を確認すると、港の方に目を向ける。


「そういやノアは何処にいるんだ?」


「接触はなるべく短時間に絞りたいという事でバルモアの商船が到着次第、合流と聞いておりますので、近くには来ているはずです」


ロードの問い掛けに答えたシェリーは、港町のコンテナが並ぶ付近にある一団を確認する。

影には隠れていたものの、紫紺の軍服に身を包んだその一団は、帝国軍だと直ぐに理解出来た。


「帝国軍…やはりブラッド様のお話は本当でしたね」


「シェリーを守るとか言ったくせに、商船は襲撃かよ…意地悪ィな」


「それはしょうがないかと。これは革命軍の軍備強化の為の作戦。帝国軍としては止めに来るでしょう」


3人は、展開を始めた帝国軍の動きを見て一層、気を引き締める。

すると、海に描かれた水平線の向こう側からバルモアの商船が三隻、小さく姿を現した。


「来ました」


シェリーの言葉に、ロードとレザノフも水平線に姿を現した商船に目を向けると港町から大きく伸びた鉄の桟橋にゆっくりと3人は歩を進めて行く。

まだ、船は海の真ん中を航海中だが出迎える為に前へ出たロード達の背後から近付いて来る1人の男の姿があった。

その男に一速く気付いたロードは振り返るとその男に睨みを利かす。


「帝国軍…アンタは?」


初めて見るその男に声を掛けると、シェリーとレザノフも振り返る。


「あかんなあ。こない堂々と来られたら…止めるしかないやないの」


京都弁で話すその男は眼鏡の奥で鋭い瞳を潜ませた。

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