RISING

鳳 鷹弥

姫の涙は光となりて

「くそ…!」


リゼアは荒々しく銃身を弾くと、覚醒を納め、レザノフから間合いを取ると、部下たちに撤退の指示を出す。


「ここは退かせて頂くのである。次こそは必ず貴公と姫の命没してやる…待っていろ…!」


首だけ向けて眉間に皺を寄せ言い放ったリゼアは森林の中に部下と共に消えていった。

それを見届けると、息を吐きレザノフもまた覚醒を納める。


それを見たロードが駆け寄ると、レザノフに声を掛ける。


「レザノフさん!追わなくていいんすか…?」


ロードの姿を確認したレザノフがニッコリと笑顔を見せてロードに声を掛ける。


「ロード様。ええ、いいのですよ。私の仕事は敵を殲滅する事でなく、姫様を守ることですから」


ロードが感心の表情を浮かべて笑顔を見せていると背後からブラッドが声を掛ける。


「にしても流石だな。バルモア護衛隊隊長の肩書きは伊達じゃねぇ…」


「私には勿体無い言葉ですよ」


謙遜して見せたレザノフの背後から館の扉を勢い良く開けて飛び出てきたシェリーとその後ろからザックが近づいて来た。


「レザノフ…」


「姫様。もう大丈夫ですよ。ご安心を」


笑顔のまま言葉を綴ったレザノフを見て、目に涙を浮かべながら、ぐっと堪えたシェリーが拳を握り締めて口を開く。


「レザノフ…私もう逃げません。身体を張って守ってくれてる人が周りにいるのに、私だけ憂鬱になって…。私も戦います…いつか母上が夢見た隣国、プレジアとの繋がりをまた築くために…」


「姫様…」


「シェリー…」


身体を震わせながら、涙を堪えたシェリーの姿からは想像も出来ない力強い言葉に二人は何か胸がいっぱいになる思いだった。


すると、全員が驚く事が起きるー。


一粒だけ、頬を伝った涙が桃色の輝きを発して、シェリーの身体を包み込んだのだ。


「これは…?」


「まさか…」


ザックとブラッドが声を発したのを見てシェリーもその光を見上げる様に不思議がる。


「何でしょう…この光は…」


「姫様、その光はギフト。それも閃光のギフトです」


小さく笑みを浮かべたレザノフがシェリーにその光が何か説明する。


「おいおい…マジか。この姫様、この力を…」


「ん?何だ?その他のギフトとは違ェみたいな言い方…」


ロードがブラッドの驚き様を見て、不思議がり尋ねると、代わりにザックが口を開く。


「大違いだよ。閃光のギフトの希少さは…」


ザックの言葉を聞いて、ロードとシェリーは首を傾げた。

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