RISING

鳳 鷹弥

ギフトと波動の関係性

2人は、ハングロッカーの建物を出ると、裏の校庭のような遊び場を抜けた先の森にある開けた場所へと向かう。

木々の中に円形の砂地が広がる広間へ来ると、先を歩いていたブラッドが踵を返し、ロードに向き直る。


「さてと、やりますかね?」


「ああ、よろしく頼む」


ブラッドは、軍服の下の腰に差していた十手を引き抜くとロードに向けて突きつける。


「ギフトの覚醒に至るまでの道に、“波動とギフト”の関係性がある事は知ってるな?」


「………ん?」


素っ頓狂な顔をして見せたロードに向けて、ブラッドがドン引きの表情を浮かべる。


「おいおい…マジか。姫の護衛隊長から説明は受けたって聞いたんだが…?」


ロードは、ふと空を見上げると腕を組み、レザノフとの会話を思い返す。


ああ…確かに言われたなあ…


適当に突っ込んで終わっちまった回だ…


と、ロードは振り返りを終えるとブラッドに目を合わせ何事も無かったように口を開く。


「ああ、アレだろ?ちゃんと覚えてるぜ」


ニヤリと笑ったロードを見て、ブラッドは心の中で呟く。


コイツ…実は俺以上の…


超テキトー野郎なんじゃ…


自覚がない分、俺より重症かもな…


仕切り直しとばかりに、ブラッドは改めて十手を突き出し、ロードに向けて口を開く。


「ギフトってのァ神から与えられた力のこと、波動ってのァそれと対になる人間がそれぞれ持つ力の根源のことだ」


人間がギフトの発現をすると必ず人間それぞれが持つ波動との呼応により十種の中から一つが顕現される。


「神から与えられたギフトが第一段階の強化状態とすりゃァ、覚醒ってのは本来持つ人間の波動との融合とも取れる強化状態の事さ」


ブラッドの突き出した十手に蒼色の流水のギフトが逆巻き、十手と腕を包む。


「覚醒に至るには、このギフトの流れと自身の持つ波動の流れを一致させる事が条件だが、ギフトと違って波動ってのは眼には見えねぇぜ…?」


「じゃあ…どうしたらいいんだ?」


ニヤリと笑ったブラッドは、流水のギフトを纏わせたまま、地面を蹴りロードとの間合いを詰める。


「ギフトだけに頼っちゃあダメだって事よ…波動ってのは人間の力だ…ギフトを使うじゃんなく…完全に纏うんだ」


ブラッドの十手が迫り、切迫した表情を浮かべてロードは、抜刀した刀に炎を纏い応戦する。


「訳解らねェ…!」

コメント

  • 鳳 鷹弥

    ありがとうございます!

    こちらも葛城刹那の活躍、楽しみに読ませて頂きます!

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  • Leiren Storathijs

    エピソード100到達おめでとうございます!これからも読んで行くので、この前言っていた更新速度が、落ちる事があれば、暇な時にでも僕の作品読んで下さい!

    『冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる』というちょっと長いタイトルです!w

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