RISING

鳳 鷹弥

孤児村経営者 ザック・トニーキース

「やあ、U・J…今日はお友達も一緒かい?」


「お友達では無いと思うがな」


ブラッドは、建物から出て来た橙色の髪の男に声を掛ける。


「そしてこちらは、バルモア公使のシェリー様に、バルモア軍護衛隊長レザノフ殿。更には巷で噂の赤髪の流浪人…ロード君だね」


情報は得ていると言わんばかりに、目を細めて笑顔を振りまきながら、それぞれを一瞥していった。


「これ、こっち置いとくぞ?」


入り口隅の玄関口に、持参した白い大きな袋を3つ置いたブラッドは、玄関口に座り込む。


「ああ。いつもありがとうね。U・J…助かるよ」


孤児村ハングロッカー経営者
ザック・トニーキース
37歳 184cm 70kg

橙色の髪を後ろで纏め上げ、長い真ん中分けの前髪を下ろしている。

グレーのタートルネックに、白い白衣のような上着を着用していて、インディゴブルーのジーンズに、白いスニーカーを履いている。

細い眼と、右眼の下の黒子、上下の八重歯が特徴的な男。


「それよりザック。こっちの皆さんが聞きてェ話があんだとよ」


「そうみたいだね。皆さん、よく来てくださいました。中へどうぞ?お茶でも出しましょう」


ザックに続いて、一行はハングロッカーの奥の応接室の様な場所へ案内される。

革のソファに腰掛ける4人に、ザックの運んで来たお茶菓子とお茶が配膳されると、ザックも対面のソファに腰掛ける。


「ありがとうございます。早速で申し訳ありませんが、私は革命軍総長ノア様からの要請を受け公使としてプレジアへ参りました」


シェリーが固い面持ちで、ザックへと口を開く。

ロードは、先程まで泣きじゃくっていた少女からの変貌に驚く。


「ええ。聞いていますよ。鎖国という法案の上に、反乱軍の存在もある。気も落ち着かぬ不安な日々を送っている事でしょうね。心中お察し致します」


「いえ…そこで、何か分かればとノア様、そしてエルヴィス様の幼少、そして親友と聞いていたお二方の対立の件など、聞ける範囲で聞かせて頂ければ…と」


「ロード君は、シェリー様のお話が先でいいのかな?」


シェリーの要件を聞いたザックは、ロードへの配慮を見せる。


「俺も同じです。聞かせて下さい…」


「でしたら、何処から話そうか」


ザックは、少し遠い目をすると、過去を思い返す様に耽った表情を見せる。

戦争の主役に躍り出た2人の男の過去が、今語られる。

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