RISING

鳳 鷹弥

ヘヴンリーの謎


ーーー 反乱軍 砂の街アジト ーーー


アジトへと戻って来たロードとガルダは、ソファに腰掛けるエルヴィスとそのソファの背もたれに寄りかかるウィルフィンの元へと歩み寄る。


「よう。お疲れ。報告を聞かせてくれ」


エルヴィスの声に真っ先に反応したのが、ガルダだった。


「南西の廃墟にィ向かいましたがァ、俺様は、オーズと交戦につき廃墟内の様子はこの赤いの…いや。ロードに本気マジ一任しましたァ」


背筋を伸ばしたガルダの報告を聞き、エルヴィスの視線がロードに移る。


「二人の男がいた…。ランスって呼ばれた・・・・男と、裏帝何ちゃらって言われた組織のスネイクって男だった。


「やはりな…」


エルヴィスとウィルフィンは、顔を見合わせやはり裏帝機関が動いた事を確かめ合う。

確信はあったのだろうが、想像通りと言わんばかりにニヤリと笑うエルヴィス。


「接触はしたのか?」


「いや、覚醒同士の戦いに目を奪われて、見てる間に両者引いちまった…」


「そうか。悪いな、面倒掛けちまって」


「気にしないでくれ。そしたら俺はこれで…」


ロードがエルヴィス達を一瞥し、背を向けると出口に向かい歩き出す。

すると、エルヴィスの声がロードの背中に刺さる。


「また会いそうだな。戦場でよ…」


「ああ…」


口数、言葉少なく交わした後、ロードはアジトを後にした。

それを見送ったエルヴィスは、ウィルフィンへと口を開く。


「で?どうだった?アイツの事、何か分かったか?」


「それが、おかしな事になった。奴の出生、出身、家族などの情報が一つも出てこなかった。政府のデータベースに入り込んでもだ…」


「成る程な。意図して消されてるのか。一族全て抹殺され、死んだ事になっているのか。それとも…異国の出身か…」


「得た情報では無いが、結果的に解った情報でこの国で、ヘヴンリーの名を名乗っているのは奴一人だった」


「偽名って線も出て来たか。謎は深まるばかりだな…」


エルヴィスとウィルフィンの会話が一度、間を開けるとエルヴィスがニヤリと笑う。


「だけどよ、嘘つけるようなタイプには見えなかったな?ウィルフィン」


「ああ…恐らくな。悪い奴ではない…直感ではそう思うが…」


「ならそれを信用して泳がせとこう。奴が公使を守ろうとする限り、また会うだろうしな」


エルヴィスは何かを納得したような表情を見せ、ソファから立ち上がり、ウィルフィンの肩をポンと叩いた。

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