RISING
生きる為の逃走
ヨハネが金色の突風を呼ぶと、二人は視界を悪くし、腕で風を防ごうとする。
「ウィルフィン…アンタ走れるか?」
「どういう意味だ?」
「俺がアイツに向けて大業を放つ。その隙に逃げんぞ…?」
ロードの言葉にウィルフィンが目を丸くする。
「ククッ…カッコつけといて一言目が逃走か。本当に掴み所が無いな。お前は…」
予想外の一言に、ウィルフィンは頬を緩ませると、ヨハネが不機嫌そうにその表情を眺める。
「随分と余裕じゃねぇか?オイ…」
ヨハネの腕が二人に向けて延びると、殺気を込めた金色の風が二人を襲う。
二人は、それを避けると同じ場所に固まる様に後ろに飛び降りる。
「アイツが誰かなんて帝国軍の誰かしかわかんねぇけどよ、お前を此処まで追い詰める奴だろ?アンタに勝てない俺がアイツを倒せる訳ねぇだろが…」
潔いにも程があるレベルで、素直に言い放ったロードに、ウィルフィンがニヤリと笑う。
「それもそうだな。だが、一蓮托生だ。生かして貰おう…この場はな…」
「ぅしっ…」
作戦が固まったかの様に、ウィルフィンが目を閉じると、ロードが刀に業火のギフトを込めると、これまでで最高の熱量が刀に帯びていく。
その熱を感じたウィルフィンが目を見開くと刀を構える。
「いっけェ!!!」
ロードが振り下ろした刀から巨大な炎が具現化する。
その隣で払ったウィルフィンの刀から黒い疾風が、その炎に向けて飛び立つ。
ヨハネに迫る烈火の如く燃え盛る炎が、更なる熱の上昇を予見する。
「これは…」
ヨハネの前で業火と疾風のギフトが、逆巻き、巨大な黒炎と成る。
一瞬、判断を遅らせたヨハネは、一度バックステップを挟み、金色の風でその黒炎を消滅させてみせる。
大きな爆発と共に、爆風がヨハネを襲うも、ヨハネは金色の風を盾にして爆風を遮る。
そして、爆風が止むと同時に、ヨハネは二人の姿を見失った事に気付く。
「逃したか…」
この大きな爆発を結びとして、ロジャーズグリフに起きた六つの抗争が全て終わりを告げた。
各組織の幹部の中に、死傷者、捕縛者は無く、各組織にとっての痛手はほぼ皆無。
犠牲となったのは革命軍の風の街におけるアジトのみであった。
ヨハネは消え失せた二人を追うことはなく、溜息と共に踵を返し、完全に陽の落ちたロジャーズグリフに背中を向けて歩き出して行った。
深手を負ったウィルフィンと共に消えたロードは何処へ行ったのだろうか。
「ウィルフィン…アンタ走れるか?」
「どういう意味だ?」
「俺がアイツに向けて大業を放つ。その隙に逃げんぞ…?」
ロードの言葉にウィルフィンが目を丸くする。
「ククッ…カッコつけといて一言目が逃走か。本当に掴み所が無いな。お前は…」
予想外の一言に、ウィルフィンは頬を緩ませると、ヨハネが不機嫌そうにその表情を眺める。
「随分と余裕じゃねぇか?オイ…」
ヨハネの腕が二人に向けて延びると、殺気を込めた金色の風が二人を襲う。
二人は、それを避けると同じ場所に固まる様に後ろに飛び降りる。
「アイツが誰かなんて帝国軍の誰かしかわかんねぇけどよ、お前を此処まで追い詰める奴だろ?アンタに勝てない俺がアイツを倒せる訳ねぇだろが…」
潔いにも程があるレベルで、素直に言い放ったロードに、ウィルフィンがニヤリと笑う。
「それもそうだな。だが、一蓮托生だ。生かして貰おう…この場はな…」
「ぅしっ…」
作戦が固まったかの様に、ウィルフィンが目を閉じると、ロードが刀に業火のギフトを込めると、これまでで最高の熱量が刀に帯びていく。
その熱を感じたウィルフィンが目を見開くと刀を構える。
「いっけェ!!!」
ロードが振り下ろした刀から巨大な炎が具現化する。
その隣で払ったウィルフィンの刀から黒い疾風が、その炎に向けて飛び立つ。
ヨハネに迫る烈火の如く燃え盛る炎が、更なる熱の上昇を予見する。
「これは…」
ヨハネの前で業火と疾風のギフトが、逆巻き、巨大な黒炎と成る。
一瞬、判断を遅らせたヨハネは、一度バックステップを挟み、金色の風でその黒炎を消滅させてみせる。
大きな爆発と共に、爆風がヨハネを襲うも、ヨハネは金色の風を盾にして爆風を遮る。
そして、爆風が止むと同時に、ヨハネは二人の姿を見失った事に気付く。
「逃したか…」
この大きな爆発を結びとして、ロジャーズグリフに起きた六つの抗争が全て終わりを告げた。
各組織の幹部の中に、死傷者、捕縛者は無く、各組織にとっての痛手はほぼ皆無。
犠牲となったのは革命軍の風の街におけるアジトのみであった。
ヨハネは消え失せた二人を追うことはなく、溜息と共に踵を返し、完全に陽の落ちたロジャーズグリフに背中を向けて歩き出して行った。
深手を負ったウィルフィンと共に消えたロードは何処へ行ったのだろうか。
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