RISING

鳳 鷹弥

終戦のロジャーズグリフ

「返す言葉もねぇのか?つまんねーな…ロード…」

壁に寄りかかり、肩を落とすロードに向けてアレンはツカツカと歩み寄る。


「俺は…革命軍に力を貸した訳じゃねぇ…それが結果として、革命軍にプラスになっただけだ…」


異様な力の増幅を感じ、足を止めるアレンに目も向けずに俯きながらユルリと立ち上がる。


「ノアの考えも、アレン…お前の覚悟も知るには到底時間が足りねぇ。俺はただ、シェリーを守る為に刃を振るうしか今はわからねぇんだよッ!!!」


ロードの背中から大きな炎が燃え盛り、その炎がアレンを圧倒するように揺らめく。


アレンですら、その炎の異様な威圧感にたじろぐように後ずさる。


「成る程な…。覚悟は持ってる訳だ。だが、何故その炎に殺気を込めて俺にぶつけて来ねェ?」


不可思議な疑問に怒りを乗せて、ロードに問い掛ける。


「アレン、お前とやり合う理由がねぇからさ。俺はただ、シェリーの安否を確かめに来ただけさ」


「本気で言ってるみてぇだな。お前…この色ボケ野郎が…。俺はロード、テメェに本気の殺意をぶつけてんのによ…」


「ノアに心酔しているアレンらしいと思ったよ。俺だって慕ってる奴の悲しいツラなんざ見たくねぇ」


段々と弱まっていく炎の様に、2人の表情も和らいで行く。


息を吐いたアレンが、ロードに声を掛ける。


「シェリー様は…ノア様によって安全な場所へ退避した。そして殿を受けた俺たち幹部にも撤退命令が出てる」


突然にシェリーの安全が保障されると、ロードは腰を抜かした様に、ぺたりと座り込む。


「良かった…本当に…」


その姿を見たアレンは、頬を緩ませる。


変わった野郎だな…ホント…


斬り合って見てわかったぜ…


ロード、アンタの覚悟をよ…


アレンは、踵を返すとロードから離れて行く。


「アレン…ありがとな」


「はっ…こちらこそ。俺もまだまだ強くならねぇとって再確認さして貰ったわ。心も力もな…」


アレンは、一気に駆け出し、そのフロアから抜けて行く。


と時を同じくして、各所で交戦していた革命軍幹部達も、一斉に作戦完了の合図を受け退避して行く。


それを追う反乱軍の姿はなく、帝国軍のアレスも部下の退避を最優先としていた。


アレスのその行動を受けたドーマンも退避に尽力し、ギルドとの交戦から抜け出していた。

こうして、ロジャーズグリフの戦いは、終戦に向かって傾く。


たった一つの激突を除いてーーー。

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