RISING

鳳 鷹弥

反乱軍副長 ウィルフィン・フィンドール

「くっ…」


ヨハネのレイピアの突きを、刀で防御するも、ヨハネが解放したギフトがヨハネの脚で逆巻き、段々と加速していく。


「そうか…貴様も…疾風のギフトの授与者か…」


それを見たウィルフィンもギフトを解放すると、背中で漆黒の風が逆巻き、ヨハネの猛攻を食い止める。

ウィルフィンの漆黒の風と、ヨハネの金色の風が渦を巻いて、周辺に無数の突風が起こり、木々がさんざめく様に揺れ動く。


「ふん…貴様の巻き起こす風は、気持ちの良い風では無いな…不愉快だ…」


「貴様こそ、殺気丸出しの風を起こしやがって身の毛もよだつとはこの事か…」


ウィルフィンは、冷酷な迄のヨハネの殺気混じりの風に後ずさる。


「殺る気がないなら、戦場に立つな。邪魔だ、ウィルフィン…」


巻き起こした突風に乗り、ヨハネがウィルフィンの正面に一瞬で移動すると、ウィルフィンを下段から斬り上げる。

ウィルフィンは何とか反応し、刀でガードするが、空中に舞ってしまう。

ヨハネはそれを追撃する様に地面から突風を起こし、またそれに乗り、ウィルフィンの頭上に出る。


クソ…圧倒的なスピードだ…


ウィルフィンは振り下ろされたヨハネのレイピアをまたも刀で受け止めようとするも、弾き飛ばされ地面に勢い良く落下し衝突した。


「大業物二十一工の一振り宵闇よいやみを扱っていても所詮は蝙蝠か…」


地面に落下した、ウィルフィンは傷だらけになりながら、身体を起こす。


舞鷹ぶようヨハネ・ヒューストン…異名通りの強さだ…」


闇蝙蝠やみこうもりと言えど、鷹を前にしてはこの程度という事だ。どんなに高い空を眺めようと、その果てなき空との間には優雅に舞う鷹がいる。どんなに鼻息荒くしても蝙蝠は鷹より高くは舞えんのだ」


空中で起こした風を足場に、言葉通りにウィルフィンよりも高い位置から言葉を投げ掛ける。


「確かにそうかもしれない。だが、蝙蝠は光も見えぬ暗闇を舞える。その一瞬は、どんな鳥よりも優雅にな。闇蝙蝠の異名通り、必ず突破口を開く…!」


ウィルフィンは、大業物“宵闇”を一度鞘に納め、ギフトの風により空中を舞う。


「抜刀術か…?来てみろ蝙蝠風情が…」


ヨハネの眼前に迫ると、柄に手を掛けヨハネ襲撃に向かうも、自身の起こした逆風により、タイミングを外す。

そして、再加速。

態勢の崩れたヨハネに向けて、宵闇を抜刀する。

「面白い…!」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべたヨハネにウィルフィンの抜刀した刀が迫る。




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