RISING

鳳 鷹弥

革命軍への招聘

「シェリー様、ロード君を少々お借りしても?」


ノアが、シェリーに問うと、シェリーは笑顔で頷く。


「ロード君、君を呼んだ理由も話したいから少し俺と来てくれるか?」


「ん?ああ…」


ロードはノアに付いてカウンターに腰掛ける。

ノアは、バーカウンターに立っているバーテンダーにロードへのお酒をオーダーする。

ロードの前に、ノアと同じ酒が注がれたロックグラスが差し出される。


「なんだこりゃ…」


ロードは、そのロックグラスを手に取ると、アイスブロックがカランカランと音を立てる。


「俺の好きなスコッチウィスキーのザ・グレンリベットだ。足労頂いた礼だ。奢らせてくれ」



おいおい…


こないだ初めてビール飲んだばかりだぞ?


スコッチウィスキーなんて…


飛躍し過ぎだ。バカヤロウ…


ロードは一瞬固まるが、ノアのグラスが近付くと苦笑いで乾杯し、スコッチを口に運ぶ。


案の定…大人の味だ…


一口目は豪快に行ったが、二口目はいつになるのだろうか。


「で…?俺を呼んだ理由って?」


「ああ。結論から言おう。ロード君…君を革命軍に招聘したい」


「俺を?何故だ…?」


「君がコミンチャーレでアドラスと戦ってから、帝国軍のドーマンと刃を交え、シェリー様を護る為に、反乱軍副長ウィルフィンと戦った。が、革命軍とは交戦の戦歴はない」


確かに、ロードがこの三つ巴の軍旗と交わってから革命軍との戦いは無かった。


「それだけか?俺を入れたい理由は」


「俺たちが目指すのは、鎖国解放の革命。その為に外せないピースは、シェリー様という事になる。その方を身体を張って護った君に感謝の意を込めてということだ」


ノアは淡々と語るが、ロードにとっては死に物狂いで潜り抜けた死線。


ノアの掲げる革命に賛同しているかと聞かれれば、ロードが口籠るのも無理は無かった。


「なあ、聞かせてくれないか?ノア…アンタが革命軍を築いた理由を」


何とか口を開いたロードに対し、ノアが今度は口籠る。


「それは…同志となって初めて総てを語る事にしている。だから簡潔になるが構わないか?」


「ああ…」


多少の合間を開けて、ノアが紡いだ言葉にロードが返答するとノアがグラスをゆっくり傾けスコッチを口に含むと口を開く。


「俺の思想は、今は亡き両親の想いを継ぐ者。革命軍のメンバーの大半は、鎖国によって人生を捻じ曲げられその運命に逆らおうとする者達だ」

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