RISING

鳳 鷹弥

辻斬りの正体

カズラと呼ばれた仮面の女の後ろに突如現れた男に、ロードは驚きの表情を浮かべる。


「お前は…あの時の…」


「また会ったな。赤髪…」


それは、光の街に入った頃に邂逅した謎のフードの男だった。


「ディル様…何故わざわざ此方へお越しに…?」


「フフフ…我々組織お得意のコソコソした動きをしなくて良くなったからだよ」


フードの男が、ゆっくりと頭に深く被っていたフードを上げていく。


「フフフ…カズラ。お前の部隊もあの赤髪1人にこの様だしな」


ディル・ウォンリザード
36歳 171cm 62kg

襟足だけが深い赤をしていて頭部は黒髪の髪が首元まで伸びている。

眼も赤く、右目の周りには黒羽の刺青が右頬まで描かれている。

黒いマントで見えないが、首元を覆う黒いタートルネックを着用している。



「申し訳ございません…ディル様」


カズラ・ハーミット
27歳 151cm 43kg

白地に赤い蜘蛛が蠢くような仮面を付けていて両腕に網状のアームスリーブを付けている。

黒装束の忍び衣装に、足にも黒いレギンスを履いている。



「テメェは一体…何者なんだ?」


ロードがフードを取ったディルという男に、問い掛ける。


「ディルという名前だよ。フフフ…宜しくな赤髪…」


「そんなことを言ってんじゃ…」


ロードの言葉に被せるようにディルが再び口を開く。


「可笑しいと思わなかったか?赤髪…カズラの言ったセリフを」


「セリフ…?」


「“闇に溶け闇に任務を遂行する隠密”こんなに太陽が高い内に語る言葉じゃあない…フフフ…」


ロードは確かに、と納得するも自分の問いに対する答えが返ってきていない事に苛立ちを深める。


「俺がテメェが何者かってことを聞いてんだ…俺に辻斬りの濡れ衣を被せたアンタが辻斬りの正体だって疑いも含めてな…」


「フフフ…確かに辻斬りは私のことだ。依頼を受けてな。問屋に桶屋…墓石屋も消したなあ…」


ディルが不敵な笑みを浮かべながらロードに視線を送る。


「依頼…それに闇に任務を遂行する…組織…隠密…何となくテメェらの正体がわかってきたぜ」


「フフフ…まあ今回は失敗だ。元々、こんな昼間に人を殺めるつもりは無かったがな。帰って彼奴に謝らねばなるまい…」


ディルとカズラはロードらに背を向けると、林の方へと歩を進めていく。


「待て!」


「フフフ…悪運…続くと良いなあ…」


カズラの放った煙幕と共に、その言葉を残して2人の姿は消えていた。

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