RISING

鳳 鷹弥

護衛隊隊長 レザノフ・スタールマン

シェリーは、ヘヴンリーという名に少々、何かを思い出していたが、頭を横に何度か振って言葉を呑み込んだ。


「そうですわ。レザノフ…レザノフはいますか?」


シェリーが声を上げると直ぐ様、リビングルームの重たい扉が開き、胸のところに手を当てたレザノフと呼ばれた男が軽く頭を下げ入室して来た。


「お呼びですか。姫様」


ノスタルジア家護衛隊隊長 兼 執事
レザノフ・スタールマン

52歳 180cm 76kg

短い白髪が揉み上げ、顎髭、口の周りまで繋がっている。

片眼鏡を着用していて、そちら側の目だけ銀色の義眼を付けている。

薄いブラウンの洒落たスーツを着用しているが、馬車護衛時は軽装だが武装していた。


このオッさん…隊列に加わってた人だ


声しか聞こえなかったが、恐らく
ドーマンとかいう少将と話していたのは
この人だな、きっと…


「このお侍様、ロード様という名だそうです。お部屋を1つ手配して下さいませんか?」


「ええ、直ぐ手配致します」


「え、ちょっと待て。休んでっていいのか?」


ロードは、部屋を貸してくれる事に驚き、シェリーの方に首を向ける。


「あっ…当人に聞かずに…。あわわわ…ご迷惑でしたでしょうか?」


また涙目になりながら、顔を赤らめてロードに尋ねる。


「えっ…あっ…いやそんな…」


ロードはその表情を見て、しどろもどろしてしまっていた。

すると、レザノフがロードに近付き、耳打ちをして来た。


「姫様はこちらに来てから、色々と詰め込んでいらっしゃいます。見た所ロード様は、姫様とそう年齢も変わらない様子。お話相手になって頂けませんか?お急ぎの旅で無い様ならですが…」


耳打ちを聞いた、ロードはまだ涙目のシェリーを目をやって、こちらも顔を赤めると、レザノフに向けて口を開く。


「泊まる宿も無かったんです。すいません…お世話になります」


「ありがとうございます。夕飯は19時頃から予定しております。何か必要な物や、不明な点が御座いましたら、何なりと…」


レザノフはそう言うと、一礼してリビングルームから出て行った。


「あ、ありがとな…シェリー。休ませて貰うよ」


その言葉を聞くと、シェリーは涙目から一転、満面の笑みに変わっていた。


「はい!ごゆっくりして行って下さいませ!」


「あれだったら…バルモアのこと…とか聞かせてくれよ」


頬をポリポリとかきながら、シェリーに伺ってみるとシェリーは笑顔のまま話し始めていた。

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