RISING

鳳 鷹弥

革命軍の使者

バルモア…?


って言ってたよな。


この国は鎖国状態、隣国の人間が、
立ち入る事は、禁じられてる…。


公使って言ってたから旅行なんかじゃ
ないらしいが…どうやって…?


不思議そうな表情を浮かべていると、シェリーがその顔を覗きこんでくる。


「どうしました?ロード…様」


「え…?ああ…」


会話の途中で、昼食が運ばれてくる。サラダにスープ、盛り付けの綺麗な牛のステーキにキッシュ、そしてブレットが主食の豪華は昼食だった。


やべー…


こんな豪華な飯、いつぶりだ…?


ゴクッと生唾を飲み込んだロードに、クスッと笑いながらシェリーがどうぞと片手を差し出す。


「いっただきまーす!」


ロードは辛抱たまらんとばかりに、ナイフやフォークを使った作法は無視して一気に食べ進めて行く。


「おかわり…ございますからね。ロード様」


その食べる姿をじーっと見つめていたシェリーは笑顔で終始その様子を確認していた。







食後に、多少の合間が開いて、シェリーが口を開く。


「気になりますか?鎖国状態のプレジアに、バルモア出身の私がいることが」


「ああ…まあな…」


シェリーは、ロードの事を聞かぬままロードの心の中を読む様に、言葉を進めて行く。


「私達は、独立師団革命軍総長 “ノア”様に招致されて、この国に来ました」


「革命軍総長ノア…そいつがシェリー達をこの国に?」


「はい。プレジアにとっての最たる隣国は、私達の母国、バルモアとなります。だから革命軍が進めている鎖国解放の第一段階として私が」


「成る程。でも何者かもわからない俺にそれを話していいのか?革命軍に相反する輩からもしれねぇぜ?」


ロードがそう言うと、シェリーがゆっくりと口を開けて手のひらをかざすと声を上げる。


「それもそうですわ!あわわわ…どうしましょう…どうしましょう…」


今まで凛としていたシェリーが突然、慌ただしく焦り始めているのを見て、ロードも焦り出す。


「お、おいおい!冗談だって!俺は革命軍の敵でもないし、シェリーの事をどうしようって訳でも…」


涙目になりながらその様子を見て、シェリーがクスッとまた笑ってみせる。


「…良かった…。気紛れでとんでもない事を仕出かしたかと…」


「俺は、ロード・ヘヴンリー。どこにも属してない旅人で流浪人だ」


「ヘヴンリー…?」


落ち着いた事で、ロードの話に耳を傾けるが、ヘヴンリーという名に多少、疑問を残した。

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