RISING

鳳 鷹弥

未定の決意

「お子様には。まだ難しかったか?」


「バッ…バカヤロウ…んなことねぇよ…」


おちょくるブラッドにしどろもどろながら反撃するロードを見て、ブラッドをふと窓の外を見つめる。


「確かに…んなことねぇのかもしれねぇな…」


「は…?」


「実際、革命軍と反乱軍のトップは、お前とそんなに歳が変わらねぇはずだ。国を想うなんてのは、年齢じゃねぇってことよ…」


「まじかよ…」


ロードは、驚きの表情を浮かべるが、多少の間を空けて、口を開く。


「正直、各軍の体制とかマジでわけわかんねぇ単語が並んだけどよ…。何が正解かなんて、もっとわけわかんねぇ…国を想うなんて出来た頭を持ってるのはわかった。…けどよ…」


ロードの言葉は一度そこで詰まる。

だが、2人はそれを遮ろうとしない。


「この国の民の率直な意見の中には、未来よりも今の幸せってのがあるんじゃねぇのか?」


「どういう事?」


サバネがロードに聞き返す。


「俺は武器を取って立ち上がっちまった事に疑問を感じるよ…誰も血を流さないで、国を変えるなんて。今のご時世じゃ不可能なことはわかってる。夢見がちなガキの意見だけどよ…」


「そんなことねぇんじゃねぇか…?」


俯いたロードにブラッドの言葉が届く。


「人間誰しも、痛いことや苦しいことは、避けて通りたいもんだ。お前の意見だって立派な1つの意思なんだよ…」


「U・J…」


「だが、そうは言っても戦いは止まらない。もう既にかなりの血が流れてる。理想は理想。だがそれ以外が起こっちまったのなら、頭ァ切り替えて現実に生きねぇとな…」


「なら俺は…戦いに参加するよ…」


「ロード君…」


「国がらみだってんなら…俺個人にとっても、1つのケリを付けられるチャンスが回って来るかもしれねぇしな…」


「ケリ…?なんのことだ…?」


ぼそっと言い放ってしまったことへの質問に、ロードは頭を抱えて口を開く。


「ああ…悪い。聞かなかったことにしてくれ…」


唇を噛むように、失言を悔やんだロードを2人は、不思議な顔で見つめた。


「まあ…聞かれたくねぇならいいや。それより、どこかに所属すんのか?1人だなんてことは、言わねぇだろ?流石によ…」


「3つの組織とこれから、接触してみる。正直、未定にも程があるからな」


「そうかい…なら、色々事件の匂いのする方に向かってみるんだな」

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