禁断の果実と降臨の熾天使 ~隠しダンジョンみつけたのでレベル上げ&アイテム回収に励みます~

つうばく

第3話 コーラってそんな効果あったの!?

「ミラクル~~っキィッッッックッ!」

 という風にとりあえず蹴ってみた。
 ただやっぱりそこまで効いていなく、少し後ろに跳ねさがっただけ。

 スライムはやはり最強の魔物ということなのだろう。

 と、ここであることに気付いた俺。
 さっきから何故かスライムが攻撃してこないのだ。

 はぁはーん。スライムって体当たりしか技が出来ないからこの状況的に攻撃出来ないのか。
 こんなところで体当たりなどしたら、俺が突き飛ばされて壁が壊れる可能性大だ。
 このスライムはここを壊してはいけないとでも命令ーー設定されているのだろう。

 これが分かったら、こっちのものだ。


 行くゼェえええ!




「ーー休憩タァイムゥウウッッッ!」

 スライムが俺の言葉で、えっ? というような感じになっていた。

 身体がくねっと曲がっているのだ。
 人間で言う首を傾げるのと同じ行為なのだろう。


 じゃあ、いらない事を考える前に休憩をしましょうか。
 飲み物は炭酸ジュースあるしお菓子も山ほどある。

 結構良い感じの休憩が出来る。
 これだったらゆっくりと休めるだろう。

「いっただきまーす!」


 ーープッシュ


 コーラを開け、ポテチの袋を開け、レジャーシートを敷きそこの上に座った。

 レジャーシートを持っている理由?
 そんなの買ったんだよ。コンビニで。

 買った理由はなんと無くこんなことが起きそうだったから。
 俺ってば予知能力あるのかも。

「ぷっはぁ! コーラ超うめぇ!」

 ここの洞窟みたいなところで飲むコーラは格別だなぁ。
 心なしか身体が軽い気がする。


 ……なんか、今ならばスライムを倒せそう。

 レジャーシートの上にコーラを蓋を閉めておいた。


 シュッシュ。シュッシュ。

 良く格闘技選手がやるようなジャンプしながらパンチする動きをした。
 これで分かったが、本当にフットワークがいつもよりも軽い。

 これならあの技が出来そうだ!

「いくぜぇスライム野郎。その身で味わえーー」

 スライムの元に思いっきりダッシュする。
 そしてある程度のところで前傾でジャンプした。

 後ろから足を回し蹴りするような感じで前に持ってくる。
 そしてサッカーボールを蹴るように、スライムを。

「ファイアァァアー! トルネードォォオオッッッ!!」

 蹴った。

 スライムは天井ぎりぎりまで高く飛び上がった。
 そして地面に触れたのと同時にスライムが消滅した。

 そう比喩でもなんでも無く、スライムが小さく細かで大量の結晶に変わり、その結晶が空に浮かび上がり消えたのだ。

 現象的にはゲーム……というよりも、血も何も出ていないので、全年齢対象のバトル物のアニメの敵を倒した時に近い感じだった。

 俺はそれで爽快感を感じた。







 いや、無理にでもそう考えたかっただけなのだろう。
 後からある人物に言われ気付くことなのだが俺は……

 この見慣れた光景から特に何も思わなかった。
 いや、見慣れた光景だからこそ、そこから何も考えたくなかったのだろうか。


 スライムというひとつの生物を殺した・・・という事実を認めるという事を。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


「あそこが本当に隕石の事件と繋がっているとはな」

 俺は今、家にいる。
 あそこからはさっき帰ったところだ。

 帰る途中、ずっとひとつのことを考えていた。
 あの場所を世間に公開するかどうか、ということを。


 あの後の出来事をまずは思い返そう。












「決まったぜ。俺の渾身の一撃」

 サッカーを少し習っていた時に覚えた技だ。
 この技、あの最強のサッカーアニメで主人公の親友が使う技なのだが、俺はあれに憧れてたからサッカーを習っていたといっても過言では無い。


『スライス討伐によりレベルアップしました』

『スライム討伐により〝漆黒の腕輪〟を獲得しました』


 頭の中に男性か女性か分からない、言うならば中性という感じの声が聞こえた。

 こんなこと想像にもしていなかったので、俺は驚愕で固まってしまった。
 ……いや、誰でも固まるだろう。

 急に頭に声が浮かんでくるのだぞ。
 これで驚愕しないのは絶対にロクな人では無い。


『初討伐報酬ーー〝鑑定〟を獲得しました』


 うわっ!? また来たよ。

 ……鑑定か。これってどうやったら使えるんだ?

 まあ良くするゲームならば鑑定スキルを使うときは、眼に神経を集めるんだったよなぁ。
 そしてその状態で鑑定と念じる。
 これは頭の中でも良いんだよな。

 とりあえずはこれでコーラを鑑定してみよう。

「眼に神経を集中……(鑑定)!」

 すると目の前に画面が浮かび上がってきた。
 これに鑑定の結果が書かれてあるのだろう。

 どれどれ。


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 名前 コーラ
 状態 普通

 効果 5分間ステータスが2倍にあがる

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……………………………………………………………は?」

 マジではっ? だよ。えっ!? だよ。
 今日、一番の驚きだよ。

「コーラってそんな能力あったの!?」

 ステータス2倍ってなんだよ。
 いや、なんと無く分かるけど。

 つまりはコーラを飲んでから5分間は身体能力があがるんだよなぁ。
 今まで普通に飲んできたジュースにそんな能力があったとは。

「マジでスライムなんか比になら無いぐらい驚いたよ!」

 はぁあ〜。なんか疲れた。

 とりあえず帰ろう。



「あっ。元の場所まで戻ってきた」

 よっと。
 うん。しっかりと壁は通れた。

「……帰る前にここが何かだけ知っておこう」

 眼に神経を集中させ、ーー〝鑑定〟


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 隠しダンジョン
 出現 天使スライム

 状態 ここは熾天使の王が放った隕石によって出来たダンジョン。
 出てくる天使スライムを倒せば超絶経験値とレアアイテムが貰える。
 全5階層となっている。
 5階層にはここを束ねるボスが配置されている。

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「……嘘だろ」

 まさか。まさか!

「ここが隕石が落ちた場所!?」

 俺は、隕石の落下場所を見つけてしまったのだ。











「はぁ〜。こんな重大な事、公開した方が良いのだろうが……」

 それをした時、何が俺の身に起こるのか、全く分からない。
 何も起こらない可能性もあるし、俺の身に何かが起こる可能性もあるのだ。

 こんなリスクが付いている事を俺は考えなければならないのか?

「……無理だ! 俺にはこんな重大な事、考えられない」

「ちょっとお兄ちゃん! 部屋だからって大きな声出さないで! 聞こえてるよ」

 扉の奥から妹の声が聞こえた。
 そこまで俺、大きな声出していたのか。

「ごめん! 少し考え事してて」

「珍しいね。……聞いたあげようか?」

 優しい声で聞いてくる妹。
 心配してもらえているのだろうか? 
 少し嬉しい。

「……ううん、大丈夫だよ」

 妹に心配はあまり掛けせさせたくないからな。

「そう……お兄ちゃん」

「うん、どうした?」

「入っても良い?」

 妹が俺の部屋に?
 しっかりと片付けてるしまあ良いだろう。

「うん、良いよ」

「じゃあ入るね」

 妹ーー来亜らいあが扉を開け俺の部屋に足を踏み込んだ。

 来亜の格好は、朝のジャージでは無かった。
 俺に言わせれば何処かに出かけるの様な良い感じの格好だった。

「服装……へん?」

「全然。むしろとても似合ってるよ」

「えへへ。ありがとうお兄ちゃん!」

 喜んでくれて何よりだ。
 服装を褒めて喜んでくれるならば、俺はどれだけでも褒めるぞ!

「それで、どうしたんだ?」

 悩み事だろうか。
 何か悩んでいるのなら、お兄ちゃんが聞いてあげるぞ。

「あのさ……やっぱり良いや」

「えっ。気になるだろ」

 途中で止められると、気になって仕方がない。

「いや、大丈夫。今、解決したから」

「まぁ、お前がそう言うならそれで良いんだが……」

「うん。大丈夫だから。……あっ! そう言えばご飯出来たから呼びに来たんだった」

 忘れすぎだろ。
 来亜おまえが来てから何分になるんだ。

「そうか。じゃあ下に行こっか」

「うん! 行こうお兄ちゃん♪」

 何故急にご機嫌になった?
 女心とは良く分からないものだ。

「ほら、はやく!」

「はいはい」

 まあ良いだろう。
 ご機嫌なことに悪いことなどないのだから。

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