my memories

第8話

ついに放課後になった。
桜にも話さないといけないと思い、朝、竜之介と同じように放課後屋上に来て欲しいと言った。

七海「はぁ…緊張するな…」

屋上に近づくにつれて重くなって行く足を無理やり動かしてやっとの思いで屋上のドアの前にたどり着いた。

七海「すー……はぁー……よし!」

深呼吸をして頭の中を整理して、勢いよくドアを開けた。

竜之介「あ、やっと来た」

七海「ごめんごめん」

桜「どーしたの?急に真面目な顔して話があるのって言うからびっくりしちゃったよ」

七海「…大事な話なの」

竜之介「…」

七海「2人には言っておかなきゃって思って」

桜「?」

2人の顔を見ると決意が揺らいでしまう…。
本当に話していいのか、隠しておくべきなんじゃないか。そんなことが頭の中を過ぎる。

竜之介「ゆっくり話せよ。七海が全部言えるまで待つから」

桜「うん!どんな話でも七海の話ちゃんと聞くよ!」

七海「ありがとう」

この時、私はいい友達をもったんだなとつくづく思った。

七海「あのね…私…病気なの」

竜之介「えっ…」

七海「若年性アルツハイマーって言う…記憶がなくなっちゃう病気なの…」

桜「そんな…」

七海「この前自分が何組なのかわからなかったの」

竜之介「……っ」

七海「多分これから教室の場所とか…通学路とか…家とか……2人のこととか全部忘れちゃうと思う…」

桜「…」

七海「こんなこと言ったら2人が悲しむと思って言えずにいたの…でも、言わなきゃって思って…ごめんね…」

竜之介「だから…俺には言えないって…」

七海「うん…」

桜「私は…七海が病気でも病気じゃなくてもずっと一緒にいるよ…!」

七海「…桜」

竜之介「俺も…七海が俺の事忘れたって何度でも思い出させる」

七海「竜之介…」

竜之介「ずっと、七海のそばにいる。だからもう無理すんな」

桜「ごめんね…気づいてあげられなくて…」

七海「ううん…私こそ言えなくてごめんね…」

必死にずっとそばにいるって言ってくれた優しい2人を私は、これからずっと大切にしようと決めた。

七海「ありがとう…」

桜「泣かないでよー…」

七海「えへへ…」

竜之介「そろそろ帰らねぇと日も暮れるし…ほら、行くぞ」

桜、七海「はーい」

その日はすごく暖かい日でした。

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