秘聖星歌

香水夏羅

どうする?

どうして、こうなってしまったんだろう。
こんな2次元みたいな事がある訳が無い。どうしてだ?もし、タイムスリップというものが本当にあるのなら、したいくらいだよ。聞かなけりゃ良かったんだ。この女の子から。何も。

「君は魔人に体を盗まれた。なぜっていう理由なんて、ないけどね。近くにいい人間がいたから君の体を奪おうと考えた。「クラウントリオ」のことは知ってるよね?あの惑星に住む魔神たちは、人間とはかけ離れた姿をしているの。だから、地球人に混じることは出来ない。彼らは人の姿を奪い、人間に混じり、怪しまれないように人々を支配していってる。」

俺は...不幸なのかもしれない。魔神たちのことは知っていたし、人間に混じっていることも知っていた。俺には関係ないと思っていたのかもしれない。いや、思っていたんだ。
きっと、こいつの言っていることは本当だ。現実味があるし、現に、俺の体は透けている。
でも、俺はどうしても気になることがある。

「おい、お前は誰だ?なぜ俺の名前を知っている?
俺の体はどうしたら戻ってくるんだ?あと、俺は...」

「ストーップ。1つずつ話していくから。」

「ゴホン、えー、わたしの名前は咲塚アオイ。
春ケ丘高校に通っています。」

やっぱ同じくらいか。春ケ丘高校っていったらチカラの世界のトップ高校じゃねえか。咲塚アオイ...聞いたことあるような、ないような...

「つぎに、私がハルトくんの名前を知っている理由だけど...んー、これはおいおい話すということで。」

「後回しにするなよ。大事なことだぞ。」

「私が隠すのも、大事な理由があるんだよ。」

彼女は何故か、遠く、悲しい目をしていた。彼女の目はサファイアのように青い、だけど星のように輝いた目をしていた。

「次に、どうしたら君の体が戻ってくるか、なんだけど...簡潔にいうと、魔神たちを探して、君の体を使っている魔人にかえしてもらう、しかないね。」

普通すぎる。こんなものでいいのか。簡単じゃないか。今すぐにでも返して欲しい。

「言っとくけど、魔人に体をかえしてもらうっていうのは簡単な事じゃないよ?」

「なんでだよ。「俺の体をかえせ」これだけじゃないか。」

「口で通用する奴らじゃない。口で通用する奴らだったらこんなふうに、わたしはここに来ていない。」

「じゃあどうやって俺の体をかえしてもらうんだよ!」

「一緒に戦って。」

「...は?たたか...え?」

「きみが一緒に戦ってくれたらきっと...奇跡が起こる。体、かえってくるよ。」

戦う?奇跡?こいつは何を言ってるんだろう。でも...もし、それで体がかえってくるなら...

「ねえ、ハルトくん。」

────どうする?────

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