天空の妖界
影弥真のゲーム攻略(5)
「イオリは生きていると、そう母に伝えてほしい」
「……は? お前が生きていると伝えろって……でもお前ここに埋められているんだろ?」
「イ、イオリが生きてる? それ、本当の話ですか!?」
息子の声は聞こえずとも、俺の声が聞こえるハツレンは、当然その言葉に強く反応する。
「あ、あぁ、一応あんたの息子が言うにはイオリは生きているってさ」
「で!? で、どこに!? イオリはどこにいると!?」
「お、落ち着けって……どこもなにも、この墓の下にイオリはいるんだろ?」
じゃなかったらここから息子の声が聞こえる事もおかしければ、墓がある意味も分からない。が、その意味わからない事をイオリは言う。
「……違う。僕はそこにはいない。今僕はもっと遠いところにいる」
「あ? じゃあなんでお前の声がここからするんだ?」
「魂だけ移動できる状態だから、魂だけでずっとお母さんを追いかけてただけ」
「幽体離脱ってやつか……」
……って、妖怪自体が幽体じゃないんだな。てっきり妖怪自体が幽霊だと思っていたんだけどな……。
「うん。僕はあの日、妖界でもかなりの実力者であり殺し屋である死神さんに勝負を挑んだんだ。勿論自分の実力を試してみたいって気持ちもあったけど、それよりも僕たちの居場所から妖怪が減っているっていう話を知って、死神さんの仕業だと思ったから、彼を止めようと僕は死神さんに勝負を挑んだんだ。で、当然負けた。そして、彼は僕を殺すかと思ったら、そのまま僕を双岩洞と呼ばれる洞窟に置いたまま消えていったんだ。双岩洞は、一人じゃ出られない洞窟で有名なんだ」
「一人じゃ出られない? なんだそりゃ」
「双岩洞は死神さんの作った結界。お母さんが作る結界にワープする力があるように、彼の作った双岩洞は不思議な力によって、一人じゃ出られないようになっているんだ」
「はぁん、それで母親に来てもらえばそこから出られるって事か」
「そう。だからそう伝えてほしい」
勿論俺は、今聞いた全てをハツレンに伝えると、
「双岩洞ですね!? ありがとうございますありがとうございます!」
また地面に頭を擦り付けるハツレンに少し同情した。……おでこに傷出来て残るだろうな……。
「お主!? 無事じゃったか!」
その後、すぐにハツレンに帰してもらうと、凄い勢いで千宮司先輩が飛びついてきた。
「ちょっ!? せ、千宮司先輩落ち着いて!」
と、千宮司先輩の背中を叩くが、抱きついたまま離してくれない。
「お主がハツレンの作りだした謎の箱に入れられてから一時間も経ってはおらぬが、それでも妾は心配したんじゃ! 少しは恥じらいを忘れて抱き着いてもいいじゃろ!」
「一時間も……? おい、ハツレン? あそこは時間がと……」
と、ハツレンに確認しようとしたが、既にその姿はすでに消えていて、俺の近くに一枚の手紙だけが残されていた。
『影弥 真君へ。本当に息子の件ありがとうございました。そんなあなたに一つ謝らなければいけない事があります。ごめんなさい、時間が止まるというのは嘘です。あぁ言わないと、ちゃんと願いを聞いてくれないかと思って咄嗟に嘘をついてしまいました。本当にごめんなさい。お詫びとしてですが、あなたの右手の甲に印を結びました。その印は、お渡ししたボウガンを出す印となっていて、右手の中指と薬指を伸ばして、下に向けると出てくる様になっています。使わなくなったら手を開くと消えるようになっているので、うまく使いこなしてください。では、私は双岩洞に息子を迎えに行くので、先に失礼します。目的は知りませんが、早く目的を果たせるといいですね』
……いや、いつ書いたんだよ……。印も紙も書く時間は無かったと思うが……。
ようやく落ち着いた千宮司先輩にもその紙を見せると、鼻で笑った。
「お主を信用していなかったのかそれともあやつが心配性なのか知らんが……やり方が不器用すぎるじゃろ。まぁいい、これで武器も手に入った訳じゃ。まずはバトルの特訓をするところからじゃな。この森から、ハジマリへ向かったら、良い戦いの練習場がある。そこに向かうぞ」
「了解です」
「そ、それと!」
立ち上がって、俺に背を向けながらまだ続ける。
「さ、さっきの事はすぐに忘れるぐらい厳しい訓練にしてやるから覚悟しておくがいい。だから、訓練終わって覚えていたらお主がまじめに訓練を受けなかったとみなすぞ!」
その言葉を残して先に歩き出した先輩の背中を見ながら、とりあえずさっきの事は忘れろということだと思った。そして多分、今先輩の顔はめっちゃ赤くなっているんだろう。
「……は? お前が生きていると伝えろって……でもお前ここに埋められているんだろ?」
「イ、イオリが生きてる? それ、本当の話ですか!?」
息子の声は聞こえずとも、俺の声が聞こえるハツレンは、当然その言葉に強く反応する。
「あ、あぁ、一応あんたの息子が言うにはイオリは生きているってさ」
「で!? で、どこに!? イオリはどこにいると!?」
「お、落ち着けって……どこもなにも、この墓の下にイオリはいるんだろ?」
じゃなかったらここから息子の声が聞こえる事もおかしければ、墓がある意味も分からない。が、その意味わからない事をイオリは言う。
「……違う。僕はそこにはいない。今僕はもっと遠いところにいる」
「あ? じゃあなんでお前の声がここからするんだ?」
「魂だけ移動できる状態だから、魂だけでずっとお母さんを追いかけてただけ」
「幽体離脱ってやつか……」
……って、妖怪自体が幽体じゃないんだな。てっきり妖怪自体が幽霊だと思っていたんだけどな……。
「うん。僕はあの日、妖界でもかなりの実力者であり殺し屋である死神さんに勝負を挑んだんだ。勿論自分の実力を試してみたいって気持ちもあったけど、それよりも僕たちの居場所から妖怪が減っているっていう話を知って、死神さんの仕業だと思ったから、彼を止めようと僕は死神さんに勝負を挑んだんだ。で、当然負けた。そして、彼は僕を殺すかと思ったら、そのまま僕を双岩洞と呼ばれる洞窟に置いたまま消えていったんだ。双岩洞は、一人じゃ出られない洞窟で有名なんだ」
「一人じゃ出られない? なんだそりゃ」
「双岩洞は死神さんの作った結界。お母さんが作る結界にワープする力があるように、彼の作った双岩洞は不思議な力によって、一人じゃ出られないようになっているんだ」
「はぁん、それで母親に来てもらえばそこから出られるって事か」
「そう。だからそう伝えてほしい」
勿論俺は、今聞いた全てをハツレンに伝えると、
「双岩洞ですね!? ありがとうございますありがとうございます!」
また地面に頭を擦り付けるハツレンに少し同情した。……おでこに傷出来て残るだろうな……。
「お主!? 無事じゃったか!」
その後、すぐにハツレンに帰してもらうと、凄い勢いで千宮司先輩が飛びついてきた。
「ちょっ!? せ、千宮司先輩落ち着いて!」
と、千宮司先輩の背中を叩くが、抱きついたまま離してくれない。
「お主がハツレンの作りだした謎の箱に入れられてから一時間も経ってはおらぬが、それでも妾は心配したんじゃ! 少しは恥じらいを忘れて抱き着いてもいいじゃろ!」
「一時間も……? おい、ハツレン? あそこは時間がと……」
と、ハツレンに確認しようとしたが、既にその姿はすでに消えていて、俺の近くに一枚の手紙だけが残されていた。
『影弥 真君へ。本当に息子の件ありがとうございました。そんなあなたに一つ謝らなければいけない事があります。ごめんなさい、時間が止まるというのは嘘です。あぁ言わないと、ちゃんと願いを聞いてくれないかと思って咄嗟に嘘をついてしまいました。本当にごめんなさい。お詫びとしてですが、あなたの右手の甲に印を結びました。その印は、お渡ししたボウガンを出す印となっていて、右手の中指と薬指を伸ばして、下に向けると出てくる様になっています。使わなくなったら手を開くと消えるようになっているので、うまく使いこなしてください。では、私は双岩洞に息子を迎えに行くので、先に失礼します。目的は知りませんが、早く目的を果たせるといいですね』
……いや、いつ書いたんだよ……。印も紙も書く時間は無かったと思うが……。
ようやく落ち着いた千宮司先輩にもその紙を見せると、鼻で笑った。
「お主を信用していなかったのかそれともあやつが心配性なのか知らんが……やり方が不器用すぎるじゃろ。まぁいい、これで武器も手に入った訳じゃ。まずはバトルの特訓をするところからじゃな。この森から、ハジマリへ向かったら、良い戦いの練習場がある。そこに向かうぞ」
「了解です」
「そ、それと!」
立ち上がって、俺に背を向けながらまだ続ける。
「さ、さっきの事はすぐに忘れるぐらい厳しい訓練にしてやるから覚悟しておくがいい。だから、訓練終わって覚えていたらお主がまじめに訓練を受けなかったとみなすぞ!」
その言葉を残して先に歩き出した先輩の背中を見ながら、とりあえずさっきの事は忘れろということだと思った。そして多分、今先輩の顔はめっちゃ赤くなっているんだろう。
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