天空の妖界

水乃谷 アゲハ

雪女と二人の友達

「映像?」
「うん。何か森のようなところに一人の女の人が立ってるんだ。あれ、俺死んだ? と思ったらその人がこう言うんだよ。『おぬしはまだ死んでなどおらんよ。少し妾の魔力を分けてやるから、さっさと倒してしまえ』ってさ。んで目が覚めてフルボッコにしてた三人を見て、ただその眼力だけで吹き飛ばした」
 特徴としては俺より小さくて、金髪だったはずだ。正直記憶が曖昧になっていて、思い出せない……。
「う、うん。それで?」
「それで三人はKOしてさ。俺は体育館に逃げたんだ。そこで映像の人を探したけどいないんだよ」
「ちなみに魔力は?」
「もうない。たぶんKOしたときに返せたんだと思う」
「ふ~ん。そんなことがあったんだ」
「こんなところでいい?」
「う~ん、じゃあと一つ」
「いいよ」
「なんで真君はユニオンを組まないの? そっちの方がその人も見つけやすいんじゃないの?」
 もちろん雪撫の言う通りだと思う。俺だって自分の立場のような奴を見たらそう思う。しかし……
「なんとなく自分で見つけてお礼が言いたいんだ」
「偉い! ……の?」
「知らんよ。……さて! そんじゃまぁ、そろそろグラウンドを散歩してみるか!」
「うん!」
 グラウンドはいつもの風景だった。傷が治るのをいいことにバトルの練習をする人、芸をやる人、見る人、店に並ぶ行列、空飛ぶドラゴンや人間などなど……。
「すごい。グラウンド大きいね! 地面にはちゃんと草木も生えてる」
 ……それってどこでもじゃね?
「お、あそこにいるのって」
「トリプレットさんだね。って無視しちゃうの!?」
 別に話す事ないし? 挑んでくるまでは相手にする気もない。
「真君、あの方たちは?」
 雪撫が指差すほうを見ると、二人の人影がこっちに手を振っているのが見えた。少し近づくとようやく相手の姿が見えるようになる。一人は赤い髪に黄色い釣りあがった目、両肩には3匹ずつ小さいライオンが乗っている男子。もう一人はうすい緑の髪が腰周りまで伸び足も細くとてもスタイルのいい女子だった。手にはジョウロを持っている。ちなみに、俺と雪撫はどちらも黒髪。俺の場合、女のときは青だけど。
「あれは、同じクラスだった獅呼ししごえ 慧人けいとと、アールノード・マーガレット通称メグって言う人たち」
「メグはどこから?」
「よく分かんないんだけどマーガレットの愛称らしいよ?」
「愛称って、友達に対して呼ぶ……みたいな?」
「そう」
「ふーん……」
「二人ともどーしたー??」
 俺は二人に声をかける。
「どうしたじゃないよ。あのトリプレットをまた倒したってすごい噂になってるんだよ?」
 と、メグが興奮した面持ちで言った。
「そーそー。そんで倒した後助けたってさ。急いで駆けつけたらもういねぇし」
「あー……噂って広まるの早いな」
「で? お前何の能力使ったの?」
「そうそれ! 私も知りたいんだけど、確か真に戦う系の能力無いよね?」
「あ、いや買ったんだよ」
「へー……Sの種?」
「そう」
「なるほどな。え、じゃあさじゃあさ、約束してた俺との勝負できんじゃん!」
「そーですね!!」
「じゃあ私とも出来るね!」
「そーですね!!」
「……なんか聞いたことあるノリだな」
「そーですね!!」
「……じゃ、じゃあ私と勝負をしてくれますか?」
「いや? しないけど」
「ひどい! 勇気を出したのに……」
 あ、そういうノリじゃなかった?
「いやだって考えてみてよ。花園フラワーガーデンS級と獅子ライオンS級だよ?たぶん、と言うか絶対に慧人には勝てないし、メグと戦うのはどうか分からないけど、たぶん無理だし。
 そこまで言ったところで不意にウィンドゥが出てきた。

 『強制バトルを挑まれました』

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