ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか
6-9 「舞奈海たん捕獲なりー!」
翌日の放課後。
堂庭への誹謗中傷メッセージを送った犯人を突き止める為、俺達は作戦会議を開いた。
メンバーは堂庭、修善寺さんと桜ちゃん、平沼に都筑と妹の舞奈海。
一同が集まったのは高校……では無く何故か俺の部屋になってしまった。どうしてこうなった。
「今更だがなんで俺の家に集まったんだよ」
学校から鎌倉にある自宅までは結構距離がある。
近所である堂庭や桜ちゃんはまだしも他の三人はかなり面倒な移動になっただろう。
「宮ヶ谷殿。今回わし達が集まった理由は分かっておるかのう?」
「そりゃ作戦会議でしょ。他に理由なんてあったか?」
俺より今更な質問をする修善寺さんの意図が分からない。犯人に対する策を練る話し合いをするのだと全員承知の上で集まっているというのに……。
「その通りじゃ。故にこの密談の内容は外部に知られてはマズい」
「つまり学校だと情報が漏れる可能性があるから危険。だからお兄さんの家に集合したんですよね」
修善寺さんに続いて桜ちゃんが答え合わせをするかのように補足する。
成程、確かに学校では盗み聞きされてもおかしくは無いしな……。
「因みにあたしの家は来客も多いし盗聴される危険もあるから晴流の家が一番安全だと思うの。めっちゃ庶民だし犯人も目を付けていないはずだわ」
「おい、さり気なく俺の家族ごとディスるのやめーや」
小馬鹿にした表情で笑う堂庭を睨み付ける。
大体、お前の家が金持ち過ぎるんだよ。こっちだって中流家庭ぐらいの分類には入っているはずだからな。
「でも俺は堂庭ちゃんのお家行きたかったなー。あわよくば堂庭ちゃんの部屋であんな事やこんな事を……」
ハァハァと息を荒くしながら自身の欲望を口にする平沼。気持ち悪い。
しかし実際に平沼が堂庭の部屋を見たら衝撃を受けるだろう。彼は堂庭の気持ち悪さを知らないからな……。
「なに変な妄想膨らませてんのよ。マジキモイんだけど!」
「えぇー? いいじゃんどうせここまで来たんだから少しくらい」
「平沼、そこまでにしておけ。本筋から逸れるから」
「悪い悪い。俺の本命は堂庭ちゃんじゃなくて愛川さんだしな。一途にならないと」
「あ…………」
瞬間、俺は口を開けたまま動けなくなってしまった。気付いてしまったのだ。
平沼は愛川さんに一度告白してフられているが、それでも諦めず想いを伝えようとしている。
でも彼は愛川さんの本性を知らない。堂庭を陥れようと悪魔の笑みを見せた彼女の顔を知らず、表面だけに惹かれて告白しようとしているのだ。
もしここで俺が犯人は愛川さんだと言ったらどうなる。
間違い無く平沼はショックを受けるだろう。そんなの嘘だと歯向かってくるかもしれない。
なんでこんな分かりきった事実に気付けなかったんだ……。
「お兄ちゃん! どしたの、大丈夫?」
舞奈海に肩を揺すられ、ハッと我に返る。
「あぁ、大丈夫、何でもない」
「そっか。てっきりお兄ちゃんが傘子地蔵になっちゃったのかと思ったよ」
懐かしいなそれ。国語の授業で散々音読した記憶があるわ。
如何にも小学生らしい例えをした舞奈海に苦笑いを返す。すると隣に座っていた堂庭の挙動がおかしい事に気付いた。
「はぁーん、何今の可愛い動き! 舞奈海たぁーん。あたしの肩もよしよししてぇ」
「うわキモ近寄らないでよ!」
 
ドタバタと暴れ回る二人。相変わらず平常運転だな。というかここには気持ち悪い奴しかいねぇのかよ。
「お兄さん……先程ですが、もし悩んでらしたのなら……無理は禁物ですからね。ゆっくりでいいんですよ?」
俺に天使のような微笑みを向けたのは桜ちゃんだ。このメンバーで唯一の善人と呼んでいいだろう。いやあ本当に天使だ。
「待ってよ舞奈海たぁーん」
「来ないでって言ってるでしょこのロリコン!」
ドタドタッ! バタバタッ!
「うっひょー! 瑛美りんの貴重なはしゃぎ姿。明日の一面はこれで決まりね!」
パシャパシャ!
「舞奈海たん捕獲なりー!」
「うわぁ! 離してよぉ、暑苦しいからぁ」
むぎゅむぎゅ……。
「ふぅ……お茶が美味しいのう」
「なぁ宮ヶ谷。堂庭って本当にロリコンなのか?」
「今は聞くな。……俺は頭が痛いんだ」
逃げる舞奈海に抱きつく堂庭。その姿に興奮してカメラを構える都筑に我関せずお茶を啜り飲む修善寺さん。
非常に騒がしいこの状況を収めるのに十数分掛かったのであった……。
◆
「さて、昨日の犯人探しをする訳だが……」
一同落ち着いたところで俺から話を切り出す。
犯人の疑惑として間違い無く浮上するのは愛川さんだ。というかほぼ彼女で確定だろう。問題はその証拠探しなのである。
とはいえ俺の口から「愛川さん」と発言するにはかなりの抵抗があった。平沼がこの場にいる限り、一言も話せないかもしれない。
「宮ヶ谷殿。犯人はお主が知っているんじゃろ? はよ言わんかえ」
「そうよ。早く話しなさいよ」
修善寺さんと堂庭の二人から問い詰められる。やべぇ、言わされそうだけど言えないぞこれは……。
「待ってくれ。因みにお前達は犯人は誰だと思う?」
「なんであたし達に聞くのよ!」
「童はまだ転入したばっかだし分からないのう」
当然の反応。いよいよ覚悟を決めて言うべきか……と思ったところで都筑が声を上げた。
「うーん……宮ヶ谷君、ヒントちょうだい! 犯人は男子なの? 女子なの?」
「…………女、だな」
「ってことは〜……」
都筑は思い当たる節があるようで眉間に寄っていたシワも緩まった。堂庭も「あっ!」と声を上げる。
「え!? もしかして分かったの?」
「うん、多分だけど犯人って……」
すると都筑と堂庭の二人は声を合わせて
「「愛川さんでしょ?」」
見事言い当てられてしまった。
堂庭への誹謗中傷メッセージを送った犯人を突き止める為、俺達は作戦会議を開いた。
メンバーは堂庭、修善寺さんと桜ちゃん、平沼に都筑と妹の舞奈海。
一同が集まったのは高校……では無く何故か俺の部屋になってしまった。どうしてこうなった。
「今更だがなんで俺の家に集まったんだよ」
学校から鎌倉にある自宅までは結構距離がある。
近所である堂庭や桜ちゃんはまだしも他の三人はかなり面倒な移動になっただろう。
「宮ヶ谷殿。今回わし達が集まった理由は分かっておるかのう?」
「そりゃ作戦会議でしょ。他に理由なんてあったか?」
俺より今更な質問をする修善寺さんの意図が分からない。犯人に対する策を練る話し合いをするのだと全員承知の上で集まっているというのに……。
「その通りじゃ。故にこの密談の内容は外部に知られてはマズい」
「つまり学校だと情報が漏れる可能性があるから危険。だからお兄さんの家に集合したんですよね」
修善寺さんに続いて桜ちゃんが答え合わせをするかのように補足する。
成程、確かに学校では盗み聞きされてもおかしくは無いしな……。
「因みにあたしの家は来客も多いし盗聴される危険もあるから晴流の家が一番安全だと思うの。めっちゃ庶民だし犯人も目を付けていないはずだわ」
「おい、さり気なく俺の家族ごとディスるのやめーや」
小馬鹿にした表情で笑う堂庭を睨み付ける。
大体、お前の家が金持ち過ぎるんだよ。こっちだって中流家庭ぐらいの分類には入っているはずだからな。
「でも俺は堂庭ちゃんのお家行きたかったなー。あわよくば堂庭ちゃんの部屋であんな事やこんな事を……」
ハァハァと息を荒くしながら自身の欲望を口にする平沼。気持ち悪い。
しかし実際に平沼が堂庭の部屋を見たら衝撃を受けるだろう。彼は堂庭の気持ち悪さを知らないからな……。
「なに変な妄想膨らませてんのよ。マジキモイんだけど!」
「えぇー? いいじゃんどうせここまで来たんだから少しくらい」
「平沼、そこまでにしておけ。本筋から逸れるから」
「悪い悪い。俺の本命は堂庭ちゃんじゃなくて愛川さんだしな。一途にならないと」
「あ…………」
瞬間、俺は口を開けたまま動けなくなってしまった。気付いてしまったのだ。
平沼は愛川さんに一度告白してフられているが、それでも諦めず想いを伝えようとしている。
でも彼は愛川さんの本性を知らない。堂庭を陥れようと悪魔の笑みを見せた彼女の顔を知らず、表面だけに惹かれて告白しようとしているのだ。
もしここで俺が犯人は愛川さんだと言ったらどうなる。
間違い無く平沼はショックを受けるだろう。そんなの嘘だと歯向かってくるかもしれない。
なんでこんな分かりきった事実に気付けなかったんだ……。
「お兄ちゃん! どしたの、大丈夫?」
舞奈海に肩を揺すられ、ハッと我に返る。
「あぁ、大丈夫、何でもない」
「そっか。てっきりお兄ちゃんが傘子地蔵になっちゃったのかと思ったよ」
懐かしいなそれ。国語の授業で散々音読した記憶があるわ。
如何にも小学生らしい例えをした舞奈海に苦笑いを返す。すると隣に座っていた堂庭の挙動がおかしい事に気付いた。
「はぁーん、何今の可愛い動き! 舞奈海たぁーん。あたしの肩もよしよししてぇ」
「うわキモ近寄らないでよ!」
 
ドタバタと暴れ回る二人。相変わらず平常運転だな。というかここには気持ち悪い奴しかいねぇのかよ。
「お兄さん……先程ですが、もし悩んでらしたのなら……無理は禁物ですからね。ゆっくりでいいんですよ?」
俺に天使のような微笑みを向けたのは桜ちゃんだ。このメンバーで唯一の善人と呼んでいいだろう。いやあ本当に天使だ。
「待ってよ舞奈海たぁーん」
「来ないでって言ってるでしょこのロリコン!」
ドタドタッ! バタバタッ!
「うっひょー! 瑛美りんの貴重なはしゃぎ姿。明日の一面はこれで決まりね!」
パシャパシャ!
「舞奈海たん捕獲なりー!」
「うわぁ! 離してよぉ、暑苦しいからぁ」
むぎゅむぎゅ……。
「ふぅ……お茶が美味しいのう」
「なぁ宮ヶ谷。堂庭って本当にロリコンなのか?」
「今は聞くな。……俺は頭が痛いんだ」
逃げる舞奈海に抱きつく堂庭。その姿に興奮してカメラを構える都筑に我関せずお茶を啜り飲む修善寺さん。
非常に騒がしいこの状況を収めるのに十数分掛かったのであった……。
◆
「さて、昨日の犯人探しをする訳だが……」
一同落ち着いたところで俺から話を切り出す。
犯人の疑惑として間違い無く浮上するのは愛川さんだ。というかほぼ彼女で確定だろう。問題はその証拠探しなのである。
とはいえ俺の口から「愛川さん」と発言するにはかなりの抵抗があった。平沼がこの場にいる限り、一言も話せないかもしれない。
「宮ヶ谷殿。犯人はお主が知っているんじゃろ? はよ言わんかえ」
「そうよ。早く話しなさいよ」
修善寺さんと堂庭の二人から問い詰められる。やべぇ、言わされそうだけど言えないぞこれは……。
「待ってくれ。因みにお前達は犯人は誰だと思う?」
「なんであたし達に聞くのよ!」
「童はまだ転入したばっかだし分からないのう」
当然の反応。いよいよ覚悟を決めて言うべきか……と思ったところで都筑が声を上げた。
「うーん……宮ヶ谷君、ヒントちょうだい! 犯人は男子なの? 女子なの?」
「…………女、だな」
「ってことは〜……」
都筑は思い当たる節があるようで眉間に寄っていたシワも緩まった。堂庭も「あっ!」と声を上げる。
「え!? もしかして分かったの?」
「うん、多分だけど犯人って……」
すると都筑と堂庭の二人は声を合わせて
「「愛川さんでしょ?」」
見事言い当てられてしまった。
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