リア充VS非リア『ブサイク達の大逆転』 ――名前の壁は超えてやる!

雪見だいふく

壁と同化? チーターか!

 俺達は教室に戻り、作戦を立て直す。

「どうする? 敵はサバゲー慣れしてるやつがかなりいそうだぞ」
「それなら私だって!」

 柳が手をピシッと上げる。

「でもなぁ、相手の手慣れの数も分からないし……」

 すると、クラス長が手をピシッと上げる。

「そうですね。なら、普通に火力で潰すのはどうでしょう。面と面で向き合って戦えば絶対に負けることは無いはずです」
「おー。確かに!」
「作戦としては教室から追い出して廊下で一騎打ちって感じか?」
「そうですね……。ですが、追い出す方法が思いつきません」
「こんなのはどうかな?」

 アゴシャベルが顎を輝かせる。
 ま、眩しい!

「私みたいな防塵な何かを持っている人が窓ガラスを割る。そうすれば流石に相手も出てくるでしょ?」
「あ、あのさ。それなら私がやるよ……。任せて」

 ポケットに手を入れた鼻くそマシンガンが可愛らしく手を挙げる。
 最近、鼻に手を突っ込んでいない。
 凄い進化だ。ていうか、この状態の彼女ならBクラスくらい余裕でいける気がする。

「どうやってやるんですか?」
「……こうして。鼻くそで……」

 彼女は鼻に手を突っ込み、普通の人(いや、普通の人は鼻くそを飛ばさないんだけど)が飛ばすような素振りを見せる。
 でも、窓ガラスなんて割れるのか?

「いいし、信じてるけどさ。割れるのか?」
「私を……信じて!」
「分かった」
「……ありがとう」

 何か、凄くいい雰囲気だな。これが戦闘じゃなければ! の話だけどな。

「お二人さーん。イチャイチャしてないで頑張るよ!」

 柳が間に入ってちょっかいを入れてくる。

「分かったから! じゃあ、頑張るぞー!」
「「おー!」」

 敵は未だに教室で篭っているのか、相手に遭遇することは無く二階廊下へ辿り着くことが出来た。
 廊下では教室を真ん中に左右に七、八人のグループを作り、しゃがんで待機している。
 鼻くそマシンガンが撃つと言っていたのは俺達が出てから三分後。
 そろそろ撃ってもおかしくないはずだ。時間だって微調整したからな。
 俺のいる七人グループで顔を見合わせ、うん。大丈夫。という意味を込めて首を上下させる。
 そして、前に向き直した時。教室の方からバリーンという爽快な音が聞こえた。
 反対側のグループと顔を見合わせ、サインを送り一気に部屋へと突入する。

「一旦。落ち着こう。敵だってそうは上手くないはずだ」

 真ん中の眼鏡男が指揮を取っていた。
 敵は今か今かと待っていたのか。
 俺らに銃口を向けていた。相手も倒れるが俺達のチームの死ぬ勢いが凄い。死亡のアナウンスが鳴り響いている。
 俺は一旦、後に引き壁を盾に体制を立て直す。ドラマなんかである銃撃戦をしている気分だ。
 その知識を生かして、俺はひょこっと顔を出す。指揮官と思われる眼鏡は俺に全く気づいていない。
 あいつを撃てば……!
 俺は頭に射程を入れて、引き金をしっかりと引く。
 その時、指揮官の男も慌てたように俺へと気づいているようにも見えた。
 次の瞬間……。

「田中 エロナスビ! 風間かざま ひろのヘッドショットを確認! 脱落!」

 その時、俺の体はワープするように客席のような真ん中に大きなモニターがあるところに飛ばされた。
 周りを見るとクラスメイトや敵だったやつらもいた。
 仲間だった奴が「お疲れ様ー」などの声を掛けてくれる中。アホみたいなやつが一人いた。

「てめぇ、さっきはよくも!!」

 突然、豚人間が殴りかかってくきたのだ。
 はぁ……。忘れてた。

「ちょ、待てって! 俺は今まで戦ってたんだぞ?!」
「うるせぇ!!」
「まぁまぁ、落ち着こ?」

 先に倒れていて、ペンキまみれの女神様が間に入って止めにかかる。
 正直言って、そんなことどうでもいい! エロすぎる!! 可愛い!

「誰かにヤられた?」
「違うわ!」
「それより……てめぇは俺と話があんだろー!」
「突っかかってくんな!! うるせぇな!!」

 俺達は胸ぐらを掴みあって話を始める。
 いつもだったら、ここ辺りで女神様が止めに……。
 止めにかかることは無い。ただ、モニターを見て興奮しているのは分かった。
 俺と豚人間も手を離して、その画面を見る。
 それはとても凄い光景だった。
 周りを見ても、敵がどんどんとこのモニターのある部屋に送られているのが分かった。
 相手を異常な程にキルしているのは柳だった。
 体が昔の状態に戻っているので隠れながら……。いや、同化しながら相手を的確に撃っていた。

「「す、すげー……」」

 五人くらいの差が付けられていたはずなのだが、敵との差は無くなり、鼻くそマシンガンを含めた三人。と相手も三人という分が良い勝負になっていた。

「くそっ! くそっ!」

 相手は何度も何度も撃つがなかなか頭には当たらない。

「……脱落! 脱落! 脱落!」

 あっという間に残りの三人は倒れ、俺達の勝利になった。
 歓喜の声が起こり、周りの雰囲気は一気に明るくなる。敵は「嘘だろ……」と言わんばかりに絶望したような顔をしていた。

 この後は変わったこともなく。月曜日に結果報告とスキル割り振りをするとの事らしい。
 俺はハイテンションで家に帰り、ベットに寝転がり思いっきり腕上げた。

「っしゃぁ!!」

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品