特殊科学研究事務所-muzina-
第1話 特殊科学研究事務所-muzina-
翌朝の土曜日、俺は祖父の秘密の研究所に再び行った。
『今日はどうしてここに?』
ムジナが聞いてきた。
「ん?ちょっと気になることがあってね」
『隆也のことですか?』
どうやら心を読まれたらしい。
「そうだけど。なにかモノノケと関係がありそうだから」
そう言って昨日やった風に木彫りの像を回した。
「そういえばさ、なんでこの像は動かされてないの?」
『隆也がモノノケと一緒じゃないと入れないようにしたからです。モノノケがいないと動かせもしません』
「なるほど」
像を回すと、内装が変わり、ドアが消えた。
「それで、ここってどこなの?」
研究所なのは確かだけど異様なんだよな。ここ。
『隆也が科学の力を盛り込んで作った、いわゆる別空間です』
俺が昨日感じた違和感は正しかったようだ。
さてと、昨日のレポートをしっかりと見ないと。
と思っていると、ムジナではない聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ! おにぃちゃん!」
!?
後ろを向くと、妹の麗奈がいた。
「なんでここに麗奈がいるんだ!?」
「えへへ。やっとおにぃちゃんもモノノケに気づいたんだね」
「モノノケが見えているのか?」
麗奈はモノノケの存在を知っているようだ。なんでだ?
俺は麗奈の金色のツインテールの上に、カラスを見つけた。
「カラス?」
「私のモノノケのやーちゃんだよぉ!」
何故かそのカラスは足が三本ある。
俗に言う、八咫烏なのだろうか。
『麗奈様は三歳の時から気づいておられましたよ』
ムジナが教えてくれた。三歳ってことは、今が十歳だから、7年間も黙ってたのか!?
『……。私は七年間以上話しかけていましたが』
ごめんなさいムジナさん。
俺が幻聴と決めつけてる間、頑張ってたのか。
『拙者、ヤガスと申しまする。
 麗奈様のお兄様ですね』
八咫烏はヤガスというらしい。
無口そうな印象だ。
「ところでおにぃちゃん。
 なんでこの場所に?」
麗奈が単刀直入に聞いてきた。
「ああ、実はじいちゃんが死んだ理由がわかるかもしれないと思ってな」
「私っ! それ思ってたの! おじいちゃんは、誰かに殺されちゃったんじゃないかって! だから手ががりを探そうとしたけど、ママとパパはまともに取り合ってくれなくて!」
それが一般人の対応だからな。当然といえば当然か。
すすり泣きしながら近づいてきた妹をギュッとハグしてやった。
「それで、レポートは読んだのか?」
「ううん。難しい字がおおくて、読めない」
まあ大学教授が書くようなレポートをさらに読みにくくした様なレポートは十歳には読めないだろうな。
『『我々も人間の字は読めません』』
しょうがないから俺が読んでやるか。
机の上にまとまっているレポートの一番上を開き、読み始める。
「私は、モノノケを調べていくうちに、奇妙なことが分かった。どうやらモノノケ以外にも、正体不明の生物がこの世界には存在していたようである。 ほかの二種、過去の人物が乗り移るものを化身、異次元から出現するものをゴーストと名付けた」
 
  俺らからしたら幻の存在が、三種もいたとは驚きだ。
『隆也は異次元の仕組みについても理解していたから存在に気づけたのでしょう』
「なるほど、で、お前らとは何が違うんだ?」
レポートを読み進めればわかると思うが、素直に気になったので聞いてみる。
『化身はあった事がありませんが、悪霊のようなものだと。それからゴーストは、皆さんの思うようなお化けではなく、今で言うUMAに似ていますね』
「ところでぇ。なんで私たちにはやーちゃんたち
 が見えるのぉ?」
たしかにそこは気になるところだな
『それは、私達は隆也の相棒のようなものでしたので、隆也に頼まれて貴方がたに憑きました。隆也が死ぬ間際、言伝を預かっています。「お前達なら真相に辿り着ける。 ただ一つ、私のように急いてはいかんぞ。ゆっくり、自分の歩幅で進め」』
じいちゃん……俺らに言葉を残してくれたのか。心が暖かくなった。
「じいちゃんが死んだ原因はお前らにも分からないのか?」
『申し訳ありません。我々は研究に付き合ってはおらず、あの日もお盆だったので、活動できませんでした』
お盆はモノノケは活動できず、眠ってしまうらしい。
「とにかく、俺らのすることは決まったな」
おっ!あそこの板いいな!
「麗奈!ペンある?」
「あるけどぉ。なににつかうの?」
「いいからっ!」
俺は見つけた板に文字を書いた。
特殊科学研究事務所-muzina-
これでよしっと。
「今日から俺ら、特殊科学研究事務所、
通称muzinaが この事件の真相を暴くぞ!」
この日から特殊科学研究事務所-muzina-は、隆之の死因を見つけるべく動き始めたのだった。
『今日はどうしてここに?』
ムジナが聞いてきた。
「ん?ちょっと気になることがあってね」
『隆也のことですか?』
どうやら心を読まれたらしい。
「そうだけど。なにかモノノケと関係がありそうだから」
そう言って昨日やった風に木彫りの像を回した。
「そういえばさ、なんでこの像は動かされてないの?」
『隆也がモノノケと一緒じゃないと入れないようにしたからです。モノノケがいないと動かせもしません』
「なるほど」
像を回すと、内装が変わり、ドアが消えた。
「それで、ここってどこなの?」
研究所なのは確かだけど異様なんだよな。ここ。
『隆也が科学の力を盛り込んで作った、いわゆる別空間です』
俺が昨日感じた違和感は正しかったようだ。
さてと、昨日のレポートをしっかりと見ないと。
と思っていると、ムジナではない聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ! おにぃちゃん!」
!?
後ろを向くと、妹の麗奈がいた。
「なんでここに麗奈がいるんだ!?」
「えへへ。やっとおにぃちゃんもモノノケに気づいたんだね」
「モノノケが見えているのか?」
麗奈はモノノケの存在を知っているようだ。なんでだ?
俺は麗奈の金色のツインテールの上に、カラスを見つけた。
「カラス?」
「私のモノノケのやーちゃんだよぉ!」
何故かそのカラスは足が三本ある。
俗に言う、八咫烏なのだろうか。
『麗奈様は三歳の時から気づいておられましたよ』
ムジナが教えてくれた。三歳ってことは、今が十歳だから、7年間も黙ってたのか!?
『……。私は七年間以上話しかけていましたが』
ごめんなさいムジナさん。
俺が幻聴と決めつけてる間、頑張ってたのか。
『拙者、ヤガスと申しまする。
 麗奈様のお兄様ですね』
八咫烏はヤガスというらしい。
無口そうな印象だ。
「ところでおにぃちゃん。
 なんでこの場所に?」
麗奈が単刀直入に聞いてきた。
「ああ、実はじいちゃんが死んだ理由がわかるかもしれないと思ってな」
「私っ! それ思ってたの! おじいちゃんは、誰かに殺されちゃったんじゃないかって! だから手ががりを探そうとしたけど、ママとパパはまともに取り合ってくれなくて!」
それが一般人の対応だからな。当然といえば当然か。
すすり泣きしながら近づいてきた妹をギュッとハグしてやった。
「それで、レポートは読んだのか?」
「ううん。難しい字がおおくて、読めない」
まあ大学教授が書くようなレポートをさらに読みにくくした様なレポートは十歳には読めないだろうな。
『『我々も人間の字は読めません』』
しょうがないから俺が読んでやるか。
机の上にまとまっているレポートの一番上を開き、読み始める。
「私は、モノノケを調べていくうちに、奇妙なことが分かった。どうやらモノノケ以外にも、正体不明の生物がこの世界には存在していたようである。 ほかの二種、過去の人物が乗り移るものを化身、異次元から出現するものをゴーストと名付けた」
 
  俺らからしたら幻の存在が、三種もいたとは驚きだ。
『隆也は異次元の仕組みについても理解していたから存在に気づけたのでしょう』
「なるほど、で、お前らとは何が違うんだ?」
レポートを読み進めればわかると思うが、素直に気になったので聞いてみる。
『化身はあった事がありませんが、悪霊のようなものだと。それからゴーストは、皆さんの思うようなお化けではなく、今で言うUMAに似ていますね』
「ところでぇ。なんで私たちにはやーちゃんたち
 が見えるのぉ?」
たしかにそこは気になるところだな
『それは、私達は隆也の相棒のようなものでしたので、隆也に頼まれて貴方がたに憑きました。隆也が死ぬ間際、言伝を預かっています。「お前達なら真相に辿り着ける。 ただ一つ、私のように急いてはいかんぞ。ゆっくり、自分の歩幅で進め」』
じいちゃん……俺らに言葉を残してくれたのか。心が暖かくなった。
「じいちゃんが死んだ原因はお前らにも分からないのか?」
『申し訳ありません。我々は研究に付き合ってはおらず、あの日もお盆だったので、活動できませんでした』
お盆はモノノケは活動できず、眠ってしまうらしい。
「とにかく、俺らのすることは決まったな」
おっ!あそこの板いいな!
「麗奈!ペンある?」
「あるけどぉ。なににつかうの?」
「いいからっ!」
俺は見つけた板に文字を書いた。
特殊科学研究事務所-muzina-
これでよしっと。
「今日から俺ら、特殊科学研究事務所、
通称muzinaが この事件の真相を暴くぞ!」
この日から特殊科学研究事務所-muzina-は、隆之の死因を見つけるべく動き始めたのだった。
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