記憶改竄的現世界物語

さも_samo

第15話:旧女神ミレイ・ノルヴァ

俊介とバリッシュさんが話込む中、俺と季子はテラをあやしていた。
ミレイ・ノルヴァの冷たくも美しい眼差しがテラをジッと見つめる。

数秒もしないうちにテラは落ち着きを取り戻した。
情報処理に頭を使いすぎて感情の制御まで気が回らなかったのだろう。

自分がバカで良かったと本気で思った。
季子はある程度成長しているからかなんとも無いようだったが、それでも疲労感は見て取れた。

ポンポンと頭を撫でるミレイ・ノルヴァ。

テラの表情に笑顔が戻る。
その笑顔を見てミレイ・ノルヴァもニッコリと笑った。

どうやら悪い人では無さそうだ。

「俺は貴方の事を全くと言って良い程に知らない。色々教えてもらえないか?」

「う~ん。何処から話したものかしら」

「俊介とはどう言う関係なんだ?」

「そうねぇ....なんて表現すればいいのかしら、彼は....言ってしまえば【弟子】ね」

「弟子....?」

「私が彼の存在を作ってしまった....」

「昔、私が現役で女神をやって居た時に一度ミスを犯してね。そのミスの結果生まれた存在が【俊介】。私は罪滅ぼしも兼ねて俊介に問題解決の手立てを与えたの」

「結果彼は想像以上の吸収であっさり私の能力を超えた。別時間軸でもっと前に私の次元を超えた化物がこっちの時間軸にやって来た時も、その超越した能力同士をぶつけ合わせてなんとか倒してた....」

「そんな彼に私は一度【殺されてるの】」

「え?」

ミレイ・ノルヴァは何処かやつれた笑いを見せる。
一度殺された...。俊介に?

「貴方シュンの話は聞いた?」

「教会で話してた話か?」

「えぇ、そのシュンがさっきの別時間軸で私の能力を超えた化物なんだけど、彼を倒すのはさしもの俊介でも難儀してね。私は自分の命を引き換えに彼に【能力】を渡した」

「綺麗に跡形もなく【塵】にさせられた....そして彼は私から全てを受け継ぎ、神になった。そしてその超越した力で死神....シュン。彼を倒したの」

「私と俊介との関係性と言えばこんな所かしらね」

これまた現実離れした....。
でもだいぶ繋がって来た。

断片的で明らかにピース不足だったパズルが完成していく。

俺が住んでるこの世界は、俊介の手によって一度【リセット】された世界と言う事は分かった。

リセットする羽目になった原因が、別時間軸でミレイ・ノルヴァの能力を超えた【シュン】と言う存在だという事も分かった。

そしてその存在を倒すために、ミレイ・ノルヴァが一度死んだ事も分かった。

彼女が今は女神じゃないなんて言っていた理由も分かった。

だがこれがどうも分からない。

「一度死んだのにどうやって生き返ったんだ?」

「彼は世界を作り替えた....それは知ってるのよね?」

「あぁ」

「作り替えた世界は何も地球だけじゃ無いの。【天界】、【バーミア】、そして【地球】。3つ全ての世界を丸っと作り替えたのよ」

「天界が造り変えられた時に、偶然にも私の存在は元に戻った。最も神としての能力を失った状態での復活だったんだけどね....。私の神としての能力はちゃんと俊介が受け継いでるみたいで安心したわ」

「それで天界でつかの間の休息を味わっていたら、シュンの遺品が出てきたって訳」

下唇を噛むミレイ・ノルヴァ。
その目からは悔しさがにじみ出ていた。

「余計な話までしてしまったわね。ごめんなさい♪」

無理やりテンションを戻したせいで表情が引きつっている。
世界を丸ごと作り替えた能力者....【俊介】。

俺の目の前にそんな化物が居ると思うとどこからか震えが湧いてきた。

しかしその震えは間違いでは無いのだろう。
俺はありえない現象を体験している。

そんな体験をしているのは他でもない俊介の影響だ。


バリッシュさんとの話を一通り終えたのだろう俊介がこちらにやって来る。

「さ、帰るぞ」

「もう話はいいのか?」

「あぁ、僕が話したい事は全部話し終わった」

【ウッドソード・ロストブランク】

俊介がBarのドアに向かって能力を唱える。
一瞬ドアが歪んだように見えたが、次の瞬間には元に戻っていた。

俊介がゴーサインを出すと同時に、テラが元気よく飛び出す。

カランコロン―――

至福の鐘の音の向こうはテラの家?に繋がっていた。

革製のラバーチェア。
どうやら向こうは地球に繋がっているらしい。

「僕がお前の弟子だって....?」

「あらら、聞こえてたの。でも間違いではないでしょう?」

「ヘッ、まぁ....感謝はしてるよ」

「そう言ってもらえると嬉しいわ」

o0O○O0o0O○O0o0O

ドアを潜った先は本当にテラの部屋だった。

しかし何処か生臭いその部屋に、違和感が絶えない。

「仮面が....」

季子が構える。
テラが再び泣き出す。

しかし今度は極端に怯えている。
季子の後ろにしがみ付いて離れようとしない。

ミレイ・ノルヴァと俊介は何処か【ニヤケ】ていたのだが、この異常な違和感に納得が行っていないのはどうやら俺だけの様だった。

季子とテラが怯えながら不思議そうな眼差しでこちらを見る。

一体何...に....。

部屋のドアを開けた瞬間。目の前に広がった光景は、まさに【地獄絵図】だった。

血腥い最悪の匂いが鼻を襲い、反吐が込み上げてくる感覚を味わった。

壁に寄りかかる黒服。
地面に横たわる黒服。

SPの様な格好をした男達が、廊下で血みどろパーティを開いていた。
生首、四肢。体の色々なパーツが転がる廊下。

目に焼き付けられたその光景に、思わず反吐が...。

「う”お”ぉ”ぉ”え”え”」

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