記憶改竄的現世界物語
第8話:サーカス爆弾魔
季子とそのまま学校に行くことになったのだが、周りの男子の視線に頭痛がした。
これからもう少し慎重に行動することにしよう。
まさかこれほどまでド直球にトラウマを踏むことになるとは思わなかった。
━…━…━…━…━…
クラスに入った後色々質問攻めにされたのだが、季子とは昔の幼馴染という事で納得してもらった。
そっちの方が季子も気が楽だろう。
授業もポンポンと進み、昼休み。
皆が弁当を取り出したり、購買に行ったりと騒がしくなるこの時間。
カチッと言うスイッチの様な音が聞こえるのと同時に、うちの学校は大爆発を起こした。
騒がしかった教室は一変して、静まり返る。
数秒もしないうちに、今度はパニックの悲鳴が教室を騒がしくした。
「なぁ季子これって....」
「えぇ、【追っ手】でしょうね」
廊下が爆発し、俺等は出口を塞がれる。
もはやこの場に冷静な判断を下せる人間は居ない。
この2人――――
俺と季子を除いて。
生徒の記憶を次から次へと読んで情報を集める。
「最初に爆発したのは体育館だ。そこから着実にこっちに向かって爆発してる」
ジリリリリ――――
火災警報装置が鳴り響き、パニックの悲鳴が窓を割る。
外に飛び出した一人の生徒が地面に着地し、這って逃げる。
足の骨折じゃ済まないだろうに....。
廊下の消化器は、爆発と共に吹っ飛んだ。
もはや担任すらパニックに陥り指示を出せていない始末。
「なぁ、この場合どうしたらいいと思う?」
「そうね、とりあえず」
季子は机を指差して、そのまま廊下を指さした。
「了解」
机を横にして、教室と廊下の境目を塞ぐ。
俺が作業を始めると、他のクラスメイトも協力し始めた。
季子が余った椅子を使い窓を全部割る。
外にモクモクと出ていた煙が教室内に立ち込め、もはや息を吸うのも困難な状態に陥った。
クラスメイトが再びパニックに陥ったが、能力を使いパニックを全て沈めた。
「一番下の机を崩して!」
季子がそう叫ぶと同時に俺は一番下の机を崩した。
上に積み上げられバリケードを作っていた机がバラバラと崩れる。
教室内に充満した煙が廊下に一度に放出されるのと同時に、バリケードの辺りが大爆発を起こした。
「バックドラフト。熱された一酸化炭素に一気に酸素が結び付くことで起こる爆発」
季子が説明を始めると同時に、廊下に爆風が広がった。
その爆風が、燃えていた廊下に一時的な道を作り出す。
「今よ」
クラスメイトは一度に廊下に出た。
まだ火の回っていない階段側に全力で走り、俺等はちょっとした火傷程度で助かった。
学校から安全な道路に避難を終えると同時に消防車が到達した。
うちのクラスメイトは助かったが、他の学生は助かったのだろうか?
しかし今はそんな事を考えている場合ではない。
俺と季子は出火原因の体育館に向かった。
「さっきは助かったよ」
「よく私の言いたいことが分かったわね」
「まぁ、【信用】してるからな」
━…━…━…━…
体育館は完全に全焼していた。
そんな全焼する体育館を眺める人影が一つ。
「やぁ、やぁ、やぁ。随分と迅速な対応。惚れ惚れするねぇ....」
男の声。
人影はクルリとこちらを向き、一歩また一歩と近づいて来る。
体育館の炎が逆光となって、その男の顔がよく見えない。
「さしずめ、どっちかが能力を使ったってとこだろう?いいよなぁ【具現化能力】はぁ....」
男の右手にはスイッチの様なモノが握られていた。
「俺等を殺したいんだろ?なんでわざわざ学校ごと燃やす必要があった」
「そりゃぁ、お前。檻の中に入ってる獅子ほど怖いものは無いからねぇ....」
「最も、脱出芸を披露されては意味を成さないのだがねぇ....」
「そんな事の為に学校を燃やしたって言うのか?」
「いやぁ....炎は本当に美しいねぇ~」
「殺す!」
激昂....その表現が一番正しいのだろう。
体の底から湧き上がるこの感情。
「季子、頼んだ」
コクリと頷く季子。
俺が男に向かって突進するのと同時に、季子は俺に【ハイド】をかけた。
突然の消失に驚きを見せる犯人。
そのまま犯人の顔面に一撃拳を入れる。
地面に倒れた犯人。
腹に足を置くと同時に、季子の【ハイド】が解除される。
「お前自分のやったコト....理解してるのか?」
「あぁ、分かってるさ。お前等にこれから起こる事も....全部な!」
踏みつけて身動き一つ取れなくなっている男の顔が、炎に照らされる。
目の堀深く、髭の濃いダンディーな男....。
追っ手の顔は、狂気に歪んだ――――
笑顔だった。
右手のスイッチを押す男。
全焼した体育館が再び爆発し、その破片が腕に刺さった。
「ッツ....」
俺が怯むと同時に男がガバッと起き上がり、蹴りを入れられた。
人間とは思えない脚力で蹴られ、背後に飛ばされながら血反吐を吐いた。
内蔵が焼けるように痛む。
季子が自分自身に【ハイド】をかける。
瓦礫の鉄棒が空中に浮かぶと同時に消える。
恐らく季子が持ったのだろう。
「フフフ....君の能力は【透過】なのかい?本当に....」
「芸の無い能力だねぇ!」
男はパッと後ろを振り返り手で何かを掴んだ。
パラパラと【ハイド】が溶ける季子。
季子は鉄棒を男に向かって勢いよく落としていたが、男はそれを片手でパシッと掴んでいる。
「これでも俺等はプロだ....お前ら如き素人に殺される程間抜けじゃないんだよッ!」
男が季子から鉄棒を取り上げ、そのまま季子の腹にフルスイングした。
腹を押さえ蹲る季子。
一体どうすれば....。
これからもう少し慎重に行動することにしよう。
まさかこれほどまでド直球にトラウマを踏むことになるとは思わなかった。
━…━…━…━…━…
クラスに入った後色々質問攻めにされたのだが、季子とは昔の幼馴染という事で納得してもらった。
そっちの方が季子も気が楽だろう。
授業もポンポンと進み、昼休み。
皆が弁当を取り出したり、購買に行ったりと騒がしくなるこの時間。
カチッと言うスイッチの様な音が聞こえるのと同時に、うちの学校は大爆発を起こした。
騒がしかった教室は一変して、静まり返る。
数秒もしないうちに、今度はパニックの悲鳴が教室を騒がしくした。
「なぁ季子これって....」
「えぇ、【追っ手】でしょうね」
廊下が爆発し、俺等は出口を塞がれる。
もはやこの場に冷静な判断を下せる人間は居ない。
この2人――――
俺と季子を除いて。
生徒の記憶を次から次へと読んで情報を集める。
「最初に爆発したのは体育館だ。そこから着実にこっちに向かって爆発してる」
ジリリリリ――――
火災警報装置が鳴り響き、パニックの悲鳴が窓を割る。
外に飛び出した一人の生徒が地面に着地し、這って逃げる。
足の骨折じゃ済まないだろうに....。
廊下の消化器は、爆発と共に吹っ飛んだ。
もはや担任すらパニックに陥り指示を出せていない始末。
「なぁ、この場合どうしたらいいと思う?」
「そうね、とりあえず」
季子は机を指差して、そのまま廊下を指さした。
「了解」
机を横にして、教室と廊下の境目を塞ぐ。
俺が作業を始めると、他のクラスメイトも協力し始めた。
季子が余った椅子を使い窓を全部割る。
外にモクモクと出ていた煙が教室内に立ち込め、もはや息を吸うのも困難な状態に陥った。
クラスメイトが再びパニックに陥ったが、能力を使いパニックを全て沈めた。
「一番下の机を崩して!」
季子がそう叫ぶと同時に俺は一番下の机を崩した。
上に積み上げられバリケードを作っていた机がバラバラと崩れる。
教室内に充満した煙が廊下に一度に放出されるのと同時に、バリケードの辺りが大爆発を起こした。
「バックドラフト。熱された一酸化炭素に一気に酸素が結び付くことで起こる爆発」
季子が説明を始めると同時に、廊下に爆風が広がった。
その爆風が、燃えていた廊下に一時的な道を作り出す。
「今よ」
クラスメイトは一度に廊下に出た。
まだ火の回っていない階段側に全力で走り、俺等はちょっとした火傷程度で助かった。
学校から安全な道路に避難を終えると同時に消防車が到達した。
うちのクラスメイトは助かったが、他の学生は助かったのだろうか?
しかし今はそんな事を考えている場合ではない。
俺と季子は出火原因の体育館に向かった。
「さっきは助かったよ」
「よく私の言いたいことが分かったわね」
「まぁ、【信用】してるからな」
━…━…━…━…
体育館は完全に全焼していた。
そんな全焼する体育館を眺める人影が一つ。
「やぁ、やぁ、やぁ。随分と迅速な対応。惚れ惚れするねぇ....」
男の声。
人影はクルリとこちらを向き、一歩また一歩と近づいて来る。
体育館の炎が逆光となって、その男の顔がよく見えない。
「さしずめ、どっちかが能力を使ったってとこだろう?いいよなぁ【具現化能力】はぁ....」
男の右手にはスイッチの様なモノが握られていた。
「俺等を殺したいんだろ?なんでわざわざ学校ごと燃やす必要があった」
「そりゃぁ、お前。檻の中に入ってる獅子ほど怖いものは無いからねぇ....」
「最も、脱出芸を披露されては意味を成さないのだがねぇ....」
「そんな事の為に学校を燃やしたって言うのか?」
「いやぁ....炎は本当に美しいねぇ~」
「殺す!」
激昂....その表現が一番正しいのだろう。
体の底から湧き上がるこの感情。
「季子、頼んだ」
コクリと頷く季子。
俺が男に向かって突進するのと同時に、季子は俺に【ハイド】をかけた。
突然の消失に驚きを見せる犯人。
そのまま犯人の顔面に一撃拳を入れる。
地面に倒れた犯人。
腹に足を置くと同時に、季子の【ハイド】が解除される。
「お前自分のやったコト....理解してるのか?」
「あぁ、分かってるさ。お前等にこれから起こる事も....全部な!」
踏みつけて身動き一つ取れなくなっている男の顔が、炎に照らされる。
目の堀深く、髭の濃いダンディーな男....。
追っ手の顔は、狂気に歪んだ――――
笑顔だった。
右手のスイッチを押す男。
全焼した体育館が再び爆発し、その破片が腕に刺さった。
「ッツ....」
俺が怯むと同時に男がガバッと起き上がり、蹴りを入れられた。
人間とは思えない脚力で蹴られ、背後に飛ばされながら血反吐を吐いた。
内蔵が焼けるように痛む。
季子が自分自身に【ハイド】をかける。
瓦礫の鉄棒が空中に浮かぶと同時に消える。
恐らく季子が持ったのだろう。
「フフフ....君の能力は【透過】なのかい?本当に....」
「芸の無い能力だねぇ!」
男はパッと後ろを振り返り手で何かを掴んだ。
パラパラと【ハイド】が溶ける季子。
季子は鉄棒を男に向かって勢いよく落としていたが、男はそれを片手でパシッと掴んでいる。
「これでも俺等はプロだ....お前ら如き素人に殺される程間抜けじゃないんだよッ!」
男が季子から鉄棒を取り上げ、そのまま季子の腹にフルスイングした。
腹を押さえ蹲る季子。
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