記憶改竄的現世界物語

さも_samo

第5話:異常すぎる転校生

あれから一週間ほど経っただろうか?

あれ以来俺は季子と一度も顔を合わせて居ない。
やはり連絡先も居所も教えなかったのは間違いだったのだろうか?

俊介先生からの呼び出しも特に無かった。
先生はタイミングを待っている様子だったが、何のタイミングを図っているのかはサッパリだった。

始業のベルが鳴る。

退屈で陳腐なベル。

!!?

「はい、今日は転校生を紹介します」

クラス中がざわつく。
みんな聞いていなかった様だ。

しかし、そんなクラスより俺の内心の方がざわついていたように思う。

そりゃそうなる。

黒髪ロング。どこか冷たい目。
すらっと締まった指。
日本人離れしたゲルマン寄りの鼻筋。

【季子だ】。

「松尾 季子です。よろしくお願いします」

ペコリと一例する季子。
クラスの男子のざわつき様が異常だ。

いろんな所から「かわいい」と言うヒソヒソ声が漏れている。

季子が用意されていた椅子に座ると、こちらに向かってニヤケ面を見せてきた。

一体どんなご都合主義が働いてるんだ....。
いくらあいつの行動力が異常だからってこれはおかしいだろ....。


━…━…━…━…
休み時間になってみんなが季子に群がった。

質問攻めにされてオドオドする季子。
色々聞きたいことがあったというのもあって、群がるみんなの記憶を【改竄】させてもらった。

突然コマンドを上書きされたロボットの様に自分の席に戻るみんな。

「どうやって編入したんだよ....」

「え?普通に」

普通にって....。

「そうか....。まぁ、まさか季子が俺と同い年だとは思わなかったよ」

「私年下よ?」

「え?」

「え」

「いやいや、え?」

「私まだ14だよ?」

おう待て、ちょっと自分の記憶を整理しよう。

季子、14歳。女子。
俺、17歳。男子。

んで、二人とも高2。

「お前マジでどうやって入ったんだよ」

「だから普通に....」

「あぁ、もういい。どうせ聞いても理解できない」

もう季子が異次元なのはよく分かった。

先生は俺よりコイツを誘ったほうが良かったんじゃなかろうか?
そう思えて来るこの無茶苦茶感....。

いや、もう本当に考えても分からない。

「貴方の記憶改竄能力って本当に便利ね、さっきは助かったわ」

「お前そのレベルのコミュ力でよく今まで生きて来れたな....」

「人と喋る機会なんてほとんどないんだもの、ほっといてよ」

「あぁ、すまん」

思えば季子の生い立ち、と言うより私生活を全くといっていい程知らない。
まぁ、がっついて知ろうとも思わないのだが....。

「んで?わざわざウチの学校に転校してきた理由は....」

「私に協力してくれるんでしょ?」

顔をきらめかせて話す季子。

あぁ、やはりそれが理由だよな。

「あ~もう分かったよ。他の仲間は見つけたのか?」

「色々探したけど、結局貴方しか見つけられなかったわ」

「能力持ちって意外と少ないんだな」

「貴方がボロを出しやすいだけかもよ?」

「うるせぇ」

ハハハと笑う季子。

人間の二面性を、この季子からは感じない。
だからこそ、俺は無性に季子を【助けたい】と思えるのかも知れない。

「んで?どうやって探し出すつもりなんだ?」

「それここで話すの?」

「それもそうだな、どうするよ」

「帰りにカフェにでも寄りましょう。おすすめの所とか無いの?」

「オススメと言うか行ってみたい店ならあるな」

Bar.レインウォーターだ。
先生の行きつけの店....【万物神】が行く店なんて興味が沸かない方がおかしい。

しかし不思議とうちの生徒はレインウォーターに行こうとしない。

━…━…━…━…━…

なんて不思議に思いながらレンウォーターに行くと、その理由がすぐに分かった。

カランコロン――――

至福を感じる鐘の音が鳴る。
コルクの匂いが漂うおしゃれな雰囲気のBar。

「やぁ勝治。季子。よく来たね」

カウンターに座っていたのは俊介先生だった。
まるで来るとわかっていたか様な態度で....いや、恐らく分かっていたのだろう。

他の生徒がここに来ない理由。
先生....何かいじったな?

つまり、僕らは【招待】されたのだ。
俊介先生の思惑通りに....。

「馬場さん、いつもの二人に」

「はいよ」

Barの店主だろうか?
いつもので通じる辺りやはりこの店の常連なのだろう。

カウンターに座ると、その椅子は程よい反発を見せた。
コツ、コツとカウンターに置かれる二つのグラス。

トッ...トッ...トッとつがれていく黄色い液体。

エナジードリンクだろうか?

「ほい、僕がオススメするこの店一番の飲み物さ」

「この店一番は珈琲なんだがなぁ....」

店主さんがツッコミを入れたが、Barなのに珈琲が推しなのかよ!とこっちもツッコミたくなった。


「さ、君達僕に内緒で何をやろうとしてるんだい?」

俊介先生が満点の笑みで僕等にそう問いかける。

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