極寒の地で拠点作り

無意識天人

初めての探索 その二


「せいっ」

【ユズのファイアボール! MP11/16】

「ギィッ!」

【ユズは洞窟うさぎを倒した! 経験値 5を手に入れた!洞窟うさぎの角を手に入れた!】

「ふう……全部倒した?」

「ギィッ!」

「そう、みたいだね」

  丁度、ハープも最後の一匹を倒して無事襲いかかってきた洞窟うさぎ五匹全部を倒すことが出来た。
  レベルも3になってHPとMPの最大値が上がった。それから、ステータスポイントとスキルポイントがそれぞれ振れる様になったから帰ったら振り分けようと思う。
  因みにさっきのファイアボールは炎魔法Lv.1の魔法で使用MPが1だから威力は低いけど倒すには充分なので結構嬉しい。

「それにしてもハープは凄いね。あんな身のこなし、初戦闘とは思えないよ」

「いやいや、そんなことないよ。ユズだってあの炎魔法で三匹倒してたでしょ?」

「まあ、ね。ハープと同じ数だけ倒さないと経験値同じにならないから」

  ハープには負けたくないからね。運動神経はハープの方がいいけどそんな理由で遅れを取るつもりは無い、寧ろそんな面も考えつつ魔法が使えるロッドにしたっていうのもある。

「おぉっとー?それは私と数比べで勝負しようってことですかねぇ?」

  私に向けてニヤリとしながら、ハープはそう挑発気味に言ってきた。そこまで直接的な意図は無かったんだけど、それでも楽しそうだったので、

「いいよ、丁度うさぎさん達も集まってきたみたいだからね」

と、こちらもニヤリと微笑み返して誘いに乗ったみた。奥にいたらしい洞窟うさぎ達は仲間達の一部が攻撃に遭ったことに気付いたらしくぞろぞろと出てきた。数はにぃ、しぃ、ろぉ、やぁ……ああ、これ割と結構いるんじゃ……

「よし、決まり!じゃあルールは簡単、沢山倒した方の勝ち。それじゃあ始め!」

「えっ、ちょっと待って!」

「待たないよー」

  そう言って、数比べ勝負は始まってしまった。もう後には引けない……それにハープ、もしかしたらだけど、多分素材集めってこと忘れてる。
あと、スピードイーグルとモグモグラが残ってるってのに大丈夫かなぁ。
  そんな不安を他所に、ハープは既に狩り始めている様子だった。もういいや、後のことは後で考えよう。そうして私はファイアボールを唱えた。






◇約十分後◇

「はぁ、はぁ……全部やった?」

「……うん、そうみたい」

結果だけ言えば私達は無事全部倒すことが出来た。
  しかし、私はMPがもうとっくに底をつき、途中から襲ってくるうさぎさんを杖で殴って殴るを繰り返してた。ハープなんかは私より沢山動くのでかなり疲れている様子だった。

「はぁ、はぁ……ユズ、今のレベルと、次のレベルまでの必要経験値を……」

  そう言われてステータスのウィンドウを開く。
どうやら結構有意義な物だったらしくレベルは8まで上がった。元より、パーティメンバーからも経験値が入るのでここまで上がるのは妥当な方だろう。
  そういえば、パーティメンバーからの経験値は割合で貰えるとは言ったけど、実際は60%ほど貰えるらしかった。

「えっとね、レベルは8。必要経験値は62……」

そうハープに告げると、ハープは驚いた様な表情でこちらを見た。この反応はまさか……いやそんなことは、無いよね?

「全く、同じ……」

そんなことあった。

「ってことは、引き分け?」

「そうみたい、だね……ん?」

ウィンドウをスライドしているハープが何か見つけた様な顔をした。

「ねえ、ユズ。ユズは『ラビットハンター』なんてスキル持ってる」

「え?ちょっと待って」

私もステータスの所をよく見てみると、スキルの欄に『ラビットハンター』の文字があった。

「あ!うん、私もある」

「いつ手に入れたんだろ。まあ多分ラビットってことは要するに、お互い気付かなかっただけってことかな」

私もハープと同じ疑問とその答えを考えていた。因みに効果は、

「『ラビットハンター』の効果は、なになに?スキル保持者のSTRとAGIを二倍にする……って、これ結構良い効果じゃん!」

「そうなの?」

私にはよく分からないけど、とにかく良い効果らしい。

「そうだよ!それこそ今は二倍上昇でも20にしかならないけどそこにポイント振って元ステ上げれば割合の恩恵が更に受けられるから……」

ハープが何か説明してくれているけど、とにかく良い効果らしい。そもそも私は魔法を使う。STRとAGIはどちらかと言えばあまり頼るつもりの無いステータスだ。
  ハープは目をキラキラさせていて、とても嬉しがっている。
  因みにこのスキルの取得条件は、三十分以内に洞窟うさぎを五十匹以上倒すことらしい。ということは私とハープは百匹以上を相手にしていたということになる。恐らくそんな変なことをするのは私達くらいだろう。序盤の、要するに雑魚敵を五十匹以上倒し続けるなんて。
  相変わらず目を輝かせているハープに、

「おーい、ハープ?」

「わぁー……はっ!え、なになに?」

あ、戻ってきた。

「どうする、この後。私、MP尽きちゃったんだけど」

「そうだねぇ……私も結構疲れたかなぁ」

「まさかこんなことになるとは……誰が始めたんだっけ?」

「あはは、誰だろうねぇ」

と、ハープは露骨に目を逸らす。乗った私も私だけど。

「洞窟うさぎの角もこんなに集まってさ」

本来、必要な角の数は十個。でも今回集まったのはその四倍近い三十八個、こう見ると落とす確率は割とあるのかな?

「あははー、知らない知らないー」

相変わらず目を逸らすハープ。まあ確かに無駄に多くはあるけど、レベル的な意味でも資源的な意味でも有意義な物だったと思う。

「まあとりあえず、洞窟うさぎの角×10は完了として……今日の所は一旦ログアウトして次回にする?」

正直結構疲れた。
思い返せばまだ初日だってのに、かなり歩いた上にブラストさんって言う嵐にあって最後に百匹以上のうさぎさんを二人で相手をする。なんてハードワーク。VRMMOの洗礼を一度に一気に受けた気がする。

「あー、賛成。んじゃ、とりあえず私達のギルドホームに戻ろう」

「了解、っと」

私達は転移の石を取り出して、空に掲げた。
目の前が真っ白になったかと思えば、風がごうっと吹き荒れて寒さが増す、私達のギルドホームが現れた。こういう時に転移の石って便利だと思う。片道なのが玉に瑕だけど。

「それじゃ、今日はこの辺で」

「うん、また明日」

そう言ってハープはログアウトボタンを押し、光に包まれ消えた。それを確認し、私もすぐにログアウトした。

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