手違いダンジョンマスター~虐げられた魔物達の楽園を作りたいと思います~
第4層
「どんな内装にするべきか迷うな……」
内装とはつまりダンジョンの環境、家で言うならば部屋のスタイル的な奴だ。
この如何によってダンジョンが評価されると言っても過言ではないかもしれない。
ま、未だに攻略者の一人も来ないんだけど!
それはさておき、今のダンジョンの階層は第1層森林エリア、第2層迷宮エリア、第3層村エリアとなっている。
第3層にいたってはただの魔物の住み家で攻略もくそもない……いやよく考えてみるとあそこが1番の難関かもしれない。
ホブゴブリン達にゾンビ達、十勇士が一同に介しているあの場から逃げることはほぼ不可能だな。
ゆくゆくはそれぞれのエリアを5層以上にして十勇士を階層ボスとして置けば良いバランスになりそうだな。
さて、将来のダンジョン計画の想像はここまでにして今のダンジョン内装の話だ。
森、迷宮、村とくれば、他には海や草原、自然な感じに突き詰めるべきか。
「ねぇねぇクロト、この間ミストが『ゾンビ達が結構生活が厳しそうなよさ』とかボヤいてたんだけど」
「ん、ゾンビが?」
ミストやウノーサノーの他にも15体ほど活躍する場面のないゾンビがいるのだが、生活が厳しい?
基本的に食料、睡眠を必要としないゾンビ達に不都合があるのか。
「あ、太陽か」
実はダンジョン内には疑似太陽がある。
と言っても、朝になれば周囲が明るくなり、夜になれば暗くなると言ったもので、熱量とかは基本的にない。
これはダンジョンの仕様だった。
だが、内装を弄る際に疑似太陽を配置することもでき、本物の太陽となんら遜色のないものだ。
それは野菜類をきちんと育てるために必要かと思って設置していたがそれが裏目に出たのだろう。だって暑いからな。
「アンデット系は熱とか光に弱いからな、盲点だった」
どうりで日中見ないわけだ、申し訳無い事をした。
ミストやウノーサノーは完全な上位種となっていて太陽光ごときじゃなんとも思わないらしい。
「よし、なら1つはゾンビ達用の階層にしよう……そうだな墓地なんてどうだ?」
「墓地? なにそれ」
脳みそイチゴミルク系女子には分からないだろう、そりゃそうだ。
「ふふふ、それなら見せてやろう」
嬉しい事にダンジョンのマスタールームはダンジョンの様子を見るために巨大なモニターが付いている。
そして最近発見したんだが、これDVDくらいなら観れるっぽい。
これなら向こう側のテレビ観れるんじゃね!? と思ったが世の中そんなに甘くない、電波なんてものが存在しないこの世界じゃテレビは観れない様だった。
ちくしょう、あのアニメの続きが気になってしょうがないと言うのに……。
さて、そんな訳でDVDをDPで出す……必要経費だ、ラビィに見せる為だ断じて俺が見たい訳じゃない、本当だからな!?
とりあえず適当な映画を見せる事にする。
「ふっふっふ、私はこんな見た目だけのこけおどしには引っ掛からないよ?」
無い胸をはり自信満々なラビィ。
──数十分後。
「ひぎやあぁぁぁあ!! 無理、無理ぃ! ああああああ!!」
ご覧の有り様で驚いたあまりに俺にしがみつく始末だ。
一応容姿は俺と同年代位の女の子なラビィから抱き締められるのは少し恥ずかしさを覚えると思いきや、無いものは無い訳で柔らかな感触はそれほど感じず、無になるだけだった。
「ふ、ふぅ。た、大したことはなかったね……」
「良く言いやがる」
ラビィが恐怖で暴れまわったお陰で用意していたポップコーンとコーラが散乱している、掃除大変だな……取り込ませよう。
「罰として掃除頼むぞ」
「えぇー、見せてきたのクロトじゃん! 手伝ってよ」
「お前な、仮にもダンジョンだろうが。物を取り込む位できるだろ!」
「忘れてた!」
ダンジョンであることの自覚無し!
とまあ、その後意気揚々と掃除し始めたラビィは放置しておいて俺はダンジョンの内装第4層墓地エリアの開発に努める。
今見た映画で大体のイメージは掴んだ。
「えーと、地面は少し湿らせて……墓を大量に設置して」
これから1、2時間程かけて第4層墓地エリアは完成した。
まず、陰気臭い雰囲気を出すために少し先が見えるか見えないかギリギリの塩梅で明るさを演出し、所々に墓をまばらに設置若干掘り起こされた感もだして骨も飛び出させる。
墓もキレイな感じにではなく、所々風化させたり苔むしたり欠けさせたりする徹底ぶりだ。
特に必要の無い壊れかけの壁、折れ曲がった鉄格子なだも取り付けて恐怖感を煽っていく、うむ我ながら素晴らしい出来だと思う。
西洋映画にありがちな墓地にしか見えない、これならば冒険者も驚いてくれること間違いなしだな! ……来ないけど。
◇◇◇
「おぉ、凄いのさクロト!」
第4層墓地エリアにて、ミストが子供らしく叫ぶ。
俺は御披露目も兼ねて、ラビィと共にミストならびにその配下ゾンビ達と共に墓地エリアまでやって来た。
「このじめじめ感、そして陰気臭い雰囲気……どれをとっても素晴らしいのさ!」
「お、おう」
彼はきっと墓地のソムリエか何か何だろう……すごい熱く語りやがるから途中からは聞き流す。
回りのゾンビ達もミストに釣られて喋りまくってたけど、その様子はかなり怖い。
「は、早く帰ろう。クロト、早く帰ろう!」
ラビィはラビィで俺を揺すりながらゾンビ達を見ては「ひっ、」と小さく叫び涙を浮かべている。
着いて来なければ良かったのに。
「ま、とりあえずはこんな簡単に作ったけど、何か足りないとかもっと良いアイディアがあれば遠慮なく言ってくれ」
「これでも結構作り込んでいると思うのさ……」
呆れ顔を向けてくるミストだが、無視だ無視。
「見てみろこの墓、すごい凝ってるぞ!」
「あの鉄格子も良い感じに錆びてるし、雰囲気あるわ~」
「骸骨だ骸骨! すげえ、掘り返された後まである」
散らばったゾンビ達が口々に俺の弄った内装に関心を示していた。
「やっぱマスターすげぇな」
「恩人だな、うん」
「俺らこんなの見たこと無いけどなんか懐かしい感じがするし落ち着くよな」
うむ、どうやら満足してくれた様だな。
多少違和感があるかもしれないが、そこは追々馴れていくだろう。
「じゃあ、まだまだやることがあるし、俺は戻るとするよ」
「助かったよクロト、今度お礼に遊んであげるのさ」
ミストの遊ぶとは基本的に体を動かす遊びで殆どが戦闘訓練レベルにキツく、俺では相手が務まらないので、先制攻撃しておこう。
「……ボードゲームならやってやる」
「なにそれ楽しそうなのさ! やるやる、それやる!」
よし、うまく釣れた。
これでなんとかなるだろう。
「私もやるやる!」
ラビィまで食いついて来やがった。
その後、ゾンビ達にも色々感謝の言葉を貰った俺は、後のことはミストに任せるとして第5層の内装に移ることにした。
内装とはつまりダンジョンの環境、家で言うならば部屋のスタイル的な奴だ。
この如何によってダンジョンが評価されると言っても過言ではないかもしれない。
ま、未だに攻略者の一人も来ないんだけど!
それはさておき、今のダンジョンの階層は第1層森林エリア、第2層迷宮エリア、第3層村エリアとなっている。
第3層にいたってはただの魔物の住み家で攻略もくそもない……いやよく考えてみるとあそこが1番の難関かもしれない。
ホブゴブリン達にゾンビ達、十勇士が一同に介しているあの場から逃げることはほぼ不可能だな。
ゆくゆくはそれぞれのエリアを5層以上にして十勇士を階層ボスとして置けば良いバランスになりそうだな。
さて、将来のダンジョン計画の想像はここまでにして今のダンジョン内装の話だ。
森、迷宮、村とくれば、他には海や草原、自然な感じに突き詰めるべきか。
「ねぇねぇクロト、この間ミストが『ゾンビ達が結構生活が厳しそうなよさ』とかボヤいてたんだけど」
「ん、ゾンビが?」
ミストやウノーサノーの他にも15体ほど活躍する場面のないゾンビがいるのだが、生活が厳しい?
基本的に食料、睡眠を必要としないゾンビ達に不都合があるのか。
「あ、太陽か」
実はダンジョン内には疑似太陽がある。
と言っても、朝になれば周囲が明るくなり、夜になれば暗くなると言ったもので、熱量とかは基本的にない。
これはダンジョンの仕様だった。
だが、内装を弄る際に疑似太陽を配置することもでき、本物の太陽となんら遜色のないものだ。
それは野菜類をきちんと育てるために必要かと思って設置していたがそれが裏目に出たのだろう。だって暑いからな。
「アンデット系は熱とか光に弱いからな、盲点だった」
どうりで日中見ないわけだ、申し訳無い事をした。
ミストやウノーサノーは完全な上位種となっていて太陽光ごときじゃなんとも思わないらしい。
「よし、なら1つはゾンビ達用の階層にしよう……そうだな墓地なんてどうだ?」
「墓地? なにそれ」
脳みそイチゴミルク系女子には分からないだろう、そりゃそうだ。
「ふふふ、それなら見せてやろう」
嬉しい事にダンジョンのマスタールームはダンジョンの様子を見るために巨大なモニターが付いている。
そして最近発見したんだが、これDVDくらいなら観れるっぽい。
これなら向こう側のテレビ観れるんじゃね!? と思ったが世の中そんなに甘くない、電波なんてものが存在しないこの世界じゃテレビは観れない様だった。
ちくしょう、あのアニメの続きが気になってしょうがないと言うのに……。
さて、そんな訳でDVDをDPで出す……必要経費だ、ラビィに見せる為だ断じて俺が見たい訳じゃない、本当だからな!?
とりあえず適当な映画を見せる事にする。
「ふっふっふ、私はこんな見た目だけのこけおどしには引っ掛からないよ?」
無い胸をはり自信満々なラビィ。
──数十分後。
「ひぎやあぁぁぁあ!! 無理、無理ぃ! ああああああ!!」
ご覧の有り様で驚いたあまりに俺にしがみつく始末だ。
一応容姿は俺と同年代位の女の子なラビィから抱き締められるのは少し恥ずかしさを覚えると思いきや、無いものは無い訳で柔らかな感触はそれほど感じず、無になるだけだった。
「ふ、ふぅ。た、大したことはなかったね……」
「良く言いやがる」
ラビィが恐怖で暴れまわったお陰で用意していたポップコーンとコーラが散乱している、掃除大変だな……取り込ませよう。
「罰として掃除頼むぞ」
「えぇー、見せてきたのクロトじゃん! 手伝ってよ」
「お前な、仮にもダンジョンだろうが。物を取り込む位できるだろ!」
「忘れてた!」
ダンジョンであることの自覚無し!
とまあ、その後意気揚々と掃除し始めたラビィは放置しておいて俺はダンジョンの内装第4層墓地エリアの開発に努める。
今見た映画で大体のイメージは掴んだ。
「えーと、地面は少し湿らせて……墓を大量に設置して」
これから1、2時間程かけて第4層墓地エリアは完成した。
まず、陰気臭い雰囲気を出すために少し先が見えるか見えないかギリギリの塩梅で明るさを演出し、所々に墓をまばらに設置若干掘り起こされた感もだして骨も飛び出させる。
墓もキレイな感じにではなく、所々風化させたり苔むしたり欠けさせたりする徹底ぶりだ。
特に必要の無い壊れかけの壁、折れ曲がった鉄格子なだも取り付けて恐怖感を煽っていく、うむ我ながら素晴らしい出来だと思う。
西洋映画にありがちな墓地にしか見えない、これならば冒険者も驚いてくれること間違いなしだな! ……来ないけど。
◇◇◇
「おぉ、凄いのさクロト!」
第4層墓地エリアにて、ミストが子供らしく叫ぶ。
俺は御披露目も兼ねて、ラビィと共にミストならびにその配下ゾンビ達と共に墓地エリアまでやって来た。
「このじめじめ感、そして陰気臭い雰囲気……どれをとっても素晴らしいのさ!」
「お、おう」
彼はきっと墓地のソムリエか何か何だろう……すごい熱く語りやがるから途中からは聞き流す。
回りのゾンビ達もミストに釣られて喋りまくってたけど、その様子はかなり怖い。
「は、早く帰ろう。クロト、早く帰ろう!」
ラビィはラビィで俺を揺すりながらゾンビ達を見ては「ひっ、」と小さく叫び涙を浮かべている。
着いて来なければ良かったのに。
「ま、とりあえずはこんな簡単に作ったけど、何か足りないとかもっと良いアイディアがあれば遠慮なく言ってくれ」
「これでも結構作り込んでいると思うのさ……」
呆れ顔を向けてくるミストだが、無視だ無視。
「見てみろこの墓、すごい凝ってるぞ!」
「あの鉄格子も良い感じに錆びてるし、雰囲気あるわ~」
「骸骨だ骸骨! すげえ、掘り返された後まである」
散らばったゾンビ達が口々に俺の弄った内装に関心を示していた。
「やっぱマスターすげぇな」
「恩人だな、うん」
「俺らこんなの見たこと無いけどなんか懐かしい感じがするし落ち着くよな」
うむ、どうやら満足してくれた様だな。
多少違和感があるかもしれないが、そこは追々馴れていくだろう。
「じゃあ、まだまだやることがあるし、俺は戻るとするよ」
「助かったよクロト、今度お礼に遊んであげるのさ」
ミストの遊ぶとは基本的に体を動かす遊びで殆どが戦闘訓練レベルにキツく、俺では相手が務まらないので、先制攻撃しておこう。
「……ボードゲームならやってやる」
「なにそれ楽しそうなのさ! やるやる、それやる!」
よし、うまく釣れた。
これでなんとかなるだろう。
「私もやるやる!」
ラビィまで食いついて来やがった。
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